現代の日本における深刻な社会問題の一つに「子どもの貧困」があります。
テレビや新聞などメディアでも盛んに貧困問題が提起され「日本の子どもの9人に1人が貧困状態にある」と伝えられています。
しかし、身の周りにそのような子どもを見かけないという「見えない貧困」が、問題解決を難しくしています。まずは「見えない貧困」を知ることから、そして身の周りの貧困に気づくことから始めてみませんか?
日本の子どもの貧困問題

日本の子どもの貧困は「絶対的貧困」ではなく「相対的貧困」です。いわゆる発展途上国などで見られるような生存に関わる絶対的貧困に対して、食生活も服装も一見普通に見える相対的貧困は、周囲から気づかれず見えにくいのが難点です。
しかし、一見不自由なく暮らしているように見えても、実は家計に余裕がなくギリギリの生活を強いられ、部活動や学習塾、修学旅行や娯楽など「他の子が当たり前にできることが自分にはできない」という絶望感を抱いていることが少なくありません。この絶望感は大人が想像する以上に深く、子どもの健全な成長において非常に大切な「自己肯定感」を損ねてしまう危険性があります。
「子どもの相対的貧困率」は2022年時点で11.5%となり、子ども(18歳未満)の9人に1人、実に約204万人の子どもたちが貧困で苦しんでいます。さらに、ひとり親世帯の相対的貧困率44.5%は、約2人に1人が貧困状態にあることを示しています。
「見えにくい貧困」の声が届いています
これらの貧困の多くは、外からは見えにくい形で存在しています。
制服を着て学校に通い、家に帰れば電気もついている。でも、冷蔵庫の中は空っぽで、お腹がすいても「がまんする」のが当たり前──。
そんな子どもたちが、地域のすぐそばにいるのです。
「この豊かな日本に本当に貧困問題があるのか?」という意見もよく耳にします。
しかし、それこそがまさに「見えにくい貧困」が「見えていない」ことに他なりません。
おてらおやつクラブ事務局には、テレビや新聞、クチコミなどで活動を知ったお母さん・お父さんから、切実な声が日々届いています。既存のセーフティーネットから漏れ落ちたような、まさに「見えにくい貧困」の渦中にある方の声が聞こえてきました。
誰にも相談もできず、胸の中にしまい込み、普段は意識しないようにしていますが、ふとした時に孤独に襲われることが多々ありました。今回、おてらおやつクラブについてご紹介いただき、さっそくおすそわけのお願いをさせていただきました。届いたおすそわけの箱を開けた時の子ども達の笑顔は忘れられません!そして、一緒に入れて頂いたお手紙に心が温まり、手を差し伸べてくださる方がいることに感謝しかありません。経済面だけではなく、心が何よりも救われました。
(神奈川県/30代のお母さん/お子さん2人)
貧困=お金がないこと+「孤立」
貧困とはお金がないことだけでなく、周囲との関係が希薄になり社会的に孤立し、自身の課題を解決するための選択肢が少なくなる状況です。
「誰にも相談できない」「頼れる身内がいない」そんな家庭の声が、私たちには多く届きます。
お菓子だけかと思っていたところ、食品まで頂きましてありがとうございます。何度役所に相談しても事務的な返答ばかりで全く親身になってもらえず、孤独な日々を過ごしておりましたが、こんなに遠くにも気にかけてくださる優しい方々がいるんだなと思うと心が温かくなりました。
(東京都/30代のお母さん/お子さん1人)
「心配をかけたくない」と思うあまり、困っていても声を上げられず、ひとりで抱え込んでしまう人がいます。だからこそ、つながりを届け、孤立を防ぐ支えが必要です。
「おすそわけ」を通じて安心感を届ける
おてらおやつクラブは「おすそわけ」を通じて「見守ってくれる人がいる」という安心感を届け、「たすけて」と言える関係性を築いて孤立を解消します。
「おすそわけ」は、みなさまからのご寄付をもとに届けています。お預かりしたご寄付は、おてらおやつクラブの活動の原資として活用いたします。おてらおやつクラブの支援の輪を広げることによって、より多くの子どもたちに、お寺から「おすそわけ」が行き届くようになります。
皆さまからのご寄付が生活に困窮する親子の助けとなります。
どうぞご協力をよろしくお願いいたします。