コロナ禍によって激増した「おてらおやつクラブ」への支援要請。 配送システム開発と多くのご支援によって、難局を乗り越えた。
コロナ禍による社会的影響の長期化
コロナ禍による社会的影響は長期化しており、生活困窮者のくらしを直撃しています。2021年度、おてらおやつクラブ事務局には、地域にある困窮家庭を支援する団体を介さない、直接的な支援(以下、直接支援)の要請が、全国5,943世帯(前年比345.5%)から寄せられました。 なお、ビフォーコロナの2019年度の直接支援家庭は351世帯であったことから、コロナ禍前後では支援規模は16.9倍となっています。

社会とのつながりが希薄な層へ支援が拡大
では、どのような家庭への支援が拡大したのでしょうか。ここではおてらおやつクラブがロジックモデルで策定したアウトカムの評価から見てみましょう。

代表的なコメント


配送システム開発で業務を分散化
激増する直接支援ニーズに応えるべく、おてらおやつクラブ事務局ではヤマト運輸株式会社の協力のもと、DX推進に着手しました。 具体的には、1,「おすそわけ」発送作業を分散させる「匿名配送システム」の開発と、2,賛同寺院・支援団体向け「物流管理システム」の開発です。 1により、全国どこの寺院からでも要支援家庭へ個人情報に配慮して「おすそわけ」を配送することが可能となりました。また2により、全国の寺院と支援団体を自動マッチングし、「おすそわけ」を配送することが可能となりました。






心理的に生活状況を改善する直接支援
おてらおやつクラブの直接支援を受給した家庭へのアンケート調査によれば、直接支援は経済的な状況改善(79.5%)に比べ、心理的な状況改善(95.6%)の方が高い傾向が見られます。それは、支援物資が「おそなえ」であり、支援者の思いやりをいっそう感じやすいことに起因するのでしょう。


支援団体の心理的状況も改善する
「おすそわけ」
おてらおやつクラブの「おすそわけ」は、連携する支援団体にも心理的な状況改善をもたらしています。2021年度に実施した「登録支援団体の意識と実態に関する調査」によれば、86.3%が心理的な状況改善に寄与したと回答しています。
また自由回答で得られたコメントからは、地域寺院との関わりがモチベーション向上に寄与している様子が垣間見えます。
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コロナ禍でも成長するネットワーク
2021年度、おてらおやつクラブの寺院ネットワークは1,796カ寺(前年比112.0%)、支援団体ネットワークは567団体(前年比111.6%)、毎月の子ども支援数はのべ22,431人(前年比114.9%)と堅調に推移しています。


長期化するコロナ禍、
いっそう寄付・寄贈の必要性は高まる
直接支援の伸長率が前年比345.5%であった一方で、寄付金は前年比127.4%(3,870万8,478円)、事務局への寄贈は前年比179.9%(52.2トン)となりました。
寄贈については、ユニリーバ、井藤漢方製薬、フェリシモ、石井食品、コスメバンク、MEJ、チェリオコーポレーション、おやつカンパニーなど企業・団体からのおそなえに加え、大阪府仏教青年会、滋賀教区浄土宗青年会など地域の青年会組織からのおそなえも大きな力となりました(敬称略)。



認定NPO法人として、
団体の存在意義を再確認
2021年度、おてらおやつクラブは「たよってうれしい、たよられてうれしい。」社会の実現、をパーパス(社会的存在意義)と定め、ロゴリニューアルとガイドライン策定を行いました。
これは、支援する側/支援される側が立場を越えて、うれしい思いを共有できる社会を実現することを企図したものです。

