4月に熊本県・大分県を中心に発生した「平成28年熊本地震」から2か月が経過しました。現在でもなお、多くの人々が、倒壊の恐れのある家屋での生活や、避難所での不自由な生活を余儀なくされています。あらためて、犠牲になった方々のご冥福をお祈りし、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
今も募金やボランティア活動など、様々な形で被災地への支援が続けられております。おてらおやつクラブでも支援活動として、参加寺院によるおやつのおすそわけが行われましたので、本稿ではそのご報告をさせていただきます。
◎ 支援に至るまでの経緯
地震が発生して1カ月が経とうとする頃、参加寺院から「熊本への支援が何かできないか」という声が事務局へ届くようになっていました。しかし、被災地へ直接おやつをお届けすることは難しく、何かの支援活動と合わせてのおすそわけが適当ではないかと考えられました。
そこで、佐賀県杵島郡白石町の曹洞宗廣雲寺住職、菅原宗玄さんを中心とした、佐賀県の曹洞宗寺院・青年会有志による炊き出しボランティア活動と協働させていただくことにしました。菅原さんを初めとするメンバーは、震災直後から、熊本県上益城郡益城町の公民館において、炊き出しボランティア活動を続けられていました。
協働にあたり、支援の流れは以下のように行うことにしました。
1)おてらおやつクラブ参加寺院へおやつ発送の依頼
2)おやつは、事務局メンバーである遙山のお寺に送ってもらう
3)炊き出し活動に合わせて現地へお届けし、食事と一緒におやつもお渡しする
早速5月15日におてらおやつクラブ参加寺院へ呼びかけをしたところ、5月22日の期限までに17カ寺・2団体からたくさんのおすそわけが届きました。子どもたちからお年寄りの方まで喜んでいただけるような様々な種類のおやつが集まり、北海道から九州まで、色とりどりの各地の銘菓も送っていただきました。
◎ 被災地「炊き出し支援」とともに
菅原さんを中心とする有志のメンバーは、震災発生直後から6月22日現在まで、継続して合計12回、毎回200~300食あまりの炊き出し活動を実施されています。常に現地のニーズを直接聞き取り、毎回趣向を凝らしたメニューを提供し、被災者の方々と心を通わせておられます。ここで大切なのは、「継続的な支援を通して、被災者の方々と顔の見える関係を築いておられる」ということでした。
いただいたたくさんの「おすそわけ」は、それぞれ同封されていたお寺からのメッセージを添付して、炊き出し会場へと運んでいただきました。一度に全てを持っていくのではなく、その都度必要な分を運び、炊き出しのテントの中にディスプレイして置いていただきました。
おてらおやつクラブ自体は、被災者の方々にとって見ず知らずの存在であり、馴染みのないものです。今回、炊き出し活動と相乗りする形で支援を行うことで、「顔の見える人たちから、継続的に、直接的に」おすそわけを届けることができ、安心感につながったのではないかと思います。
◎ まとめ
災害支援には様々な形があり、どのような形が最適かは一概には言えないものだと思います。今回はたまたま上記のような形となって支援を行いました。
それでも、今回、地元の支援活動とおてらおやつクラブの活動を結ぶことができたことは、私にとっては意義深いものでした。参加寺院や協力団体との平時のご縁を生かすことにより、災害時に的確な支援が可能になるかもしれません。
非常時だからこそ、平時の備えの大切さが痛感されます。日頃から継続的におすそわけを発送しているおてらおやつクラブ参加寺院だからこそ、比較的早く被災地への支援に応じることができた、という側面もあったと思われます。
最後に、快く協働を承諾してくださった菅原宗玄さんをはじめとする曹洞宗寺院有志の皆様方、おすそわけの依頼に迅速に応えておやつを送ってくださった参加寺院の皆様方に御礼申し上げます。今後も、ともにできることを行っていければ幸いです。
(文・佐賀県杵島郡江北町 永林寺 遙山典仁)
**おすそわけを送ってくださったご寺院様・団体様(順不同)**
三重県 津市 妙華寺様
長崎県 長崎市 観善寺様
大阪府 大阪市 大仙寺様
千葉県 市原市 弘教寺様
広島県 大竹市 西念寺様
新潟県 長岡市 安善寺様
東京都 墨田区 春慶寺様
福岡県 北九州市 宝樹寺様
富山県 南砺市 教了寺様
奈良県 桜井市 法起院様
滋賀県 愛荘町 宝満寺様
京都府 京都市 法然院様
北海道 長沼町 誓報寺様
山形県 米沢市 西蓮寺様
東京都 調布市 西光寺様
神奈川県 横浜市 妙法寺様
北海道 釧路市 本行寺様
大阪府 大阪市 浄土宗大阪教務所教化団様
愛知県 一宮市 日蓮宗一偈結社様と以下の皆様(江南市/昭蓮寺様 東海市/妙法寺様 あま市/宝満寺様 岐阜市/常在寺様)
本当にありがとうございました。 合掌