【イベント報告】都心のお寺で考えた「利他」とウェルビーイング

2025年12月5日(金)「利他を問い、利他を実践する 〜都心のお寺で考える、自分と社会のウェルビーイング〜」を、麻布台ヒルズに凛とかまえる大養寺さまにて開催しました。当日は12月の金曜日というお忙しい時期にも関わらず、40名超のご参加をいただき、満席にて開催することが叶いました。ご参加くださった皆さま、ありがとうございました。

大養寺の外観

本記事は、登壇者3名とは別にイベントサポートとして参加したおてらおやつクラブ理事である高山のイベント報告レポートとなります。今回初めてのオフィス街で開催したイベントの賑わいをお伝えしますね。

当日は、株式会社アイスタイル取締役の山田メユミさまと認定NPO法人おてらおやつクラブ代表理事の松島との対談に、ファシリテーターとして株式会社アイスタイル兼おてらおやつクラブ広報戦略支援の小川が、両者が経験してきた「利他」を元にお互いの想いを掘り下げました。

都心のお寺で、静かに始まった対話の時間


利他とは何か、口火をきったのは山田氏。
「『利他』は自己犠牲ではなく、自分の世界を豊かに広げていく力だ」と。

誰かの幸せが、その瞬間に自分の幸せへ響いていく──そんな循環をどう育てるか。その循環のひとつが、人の小さな「声」であったと二人は語ります。

「子どもの卒業式につける口紅がない」という一人の切実な声が、再販売が難しくなった化粧品と必要とする人を結び、コスメバンクプロジェクト誕生のきっかけになりました。見えにくい場所にある声が、行動を動かすエネルギーになることを教えてくれる。
前例のない挑戦には「転売されるのでは?」といった懸念がつきものですが、「まずはやってみる」という一歩が大きな変化を生み出します、と、山田氏から話してくれました。

メモを取る参加者

一方、おてらおやつクラブの松島からも、コロナ禍で「たすけて」の声が急増した際、審査をせずに声をあげた人すべてに直接支援を送る決断をしたという話がありました。この行動が「たすけてと言えば誰かが応えてくれる社会」を多くの人に体験してもらうことにつながりました。
支援活動は、支援する側も「支援させてくれてありがとう」と感じることで、新たな価値が生まれる「ありがとうの循環」となります。
例えば、月500円の寄付のような小さな行動でも、積み重なれば大きな流れになる。
できる人が、できる時に、できることを──その緩やかな循環が、続いていく支援の土台になります、と。


お二人の対談は、立場や環境こそ違えども、

  • 身近な人の「声」に意識的に耳を傾ける  
  • 小さな「おすそわけ」を実践する  
  • 「やってみる」精神で小さな一歩を踏み出す

という点で共通していました。

大都会の真ん中で、社会のことを考える夜

利他は、遠い誰かへ向けられた特別な行為ではなく、日々の関わりや自分の生き方ともつながっています。
大都会の真ん中にも関わらず大養寺さまの静寂に包まれて、「たよってうれしい、たよられてうれしい。」──そんな社会を一緒に育てたいと思える時間でした。


講演後には、ひとり親家庭へ向けた応援の手紙を書くワークも実施。「完成したお手紙は、実際に奈良県の事務局から各家庭へお送りします。」と参加者へお伝えして、ワークに取り掛かりました。少しばかりプレッシャーになるやもと思いましたが、思いの外、参加者各々が目の前に姿はなくても、誰かを想いながら言葉を紡ぐひとときを過ごすことができ、書き手自身の心も静かに温めていくような体験になりました。

誰かを想って、言葉を書く時間


実際にイベントに参加してくださった方々の声をいくつかご紹介します。

素晴らしい活動について、そのきっかけや現在の活動、関係者の方や受け取った側の声について生の声を詳しく聞けたことが良かったです。

知らない世界を知れた。東京の中心にいるとなかなか向き合えない問題を知ることができて、また自身の人生を見直せるきっかけになった

自分のような者でも活動に参加できるかもしれないという希望を感じた

参加してくださった方々からは、活動の背景や当事者の声に触れられたことへの学びや、普段は向き合いにくい社会課題を知り、お二人の対談を通して、自分自身を見つめ直すきっかけになったという感想が多く寄せられました。

「自分も関われるかもしれない」と感じていただけたことが、何よりうれしかったです。

今回の対談とワークを通してあらためて感じたのは、利他とは特別な人だけが実践できるものではなく、日々の選択や関わりの中にすでに息づいているものだということです。

自分のために動くことと、誰かのために動くことが分かれているのではなく、重なり合い、巡り合いながら広がっていく──。

身近な声に耳を澄まし、できる範囲で手を差し出す。
完璧でなくても、まず一歩を踏み出してみる。

その小さな積み重ねが、「たよってうれしい、たよられてうれしい。」社会を形づくっていくのだと、参加者一人ひとりが実感できる時間だったように感じます。


見逃し配信のお知らせ

当日の対談の様子は見逃し配信でご覧いただけます。参加できなかった方はもちろん、もう一度ゆっくり振り返りたい方も、ぜひこの機会にご視聴ください。言葉の奥にある思いや、会場に流れていた空気感を、改めて感じていただけたら嬉しいです。

https://saimatsutasukeai-archive.peatix.com


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【子どもの貧困】見捨てない。あなたの支援で、子どもたちに食べ物とつながりを。」というプロジェクト名のもと、12月31日(水)まで寄付を募集しています。

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子どもたちの笑顔のため、ぜひ応援をお願いします。

▼プロジェクトページ
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