※こちらの記事は内海産業さまへのインタビュー記事の後編です。前編の記事をまだご覧になっていない方は先にそちらをご覧ください!
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【前編】内海産業さまにインタビュー 〜企業から社会・未来の子どもたちへ〜
テレビで知ったお菓子を食べたことがない小学生の存在
小林 どのようなきっかけで、おてらおやつクラブの支援をしていただくことになったのでしょうか?
近藤さん
2016年11月20日にフジテレビで放送されたMr.サンデーを見た時です。ひとり親家庭における貧困の状況について特集されていました。その中で「お菓子を食べたことがない」と言う小学生ぐらいの子が、おてらおやつクラブさんに支援されたフルーツを食べていて 「こんな美味しいものあるんだって初めて知った!」というシーンを見て衝撃を受けたんです。
当時の国内外のニュースを調べてみると、イスラム国のテロなどに関するニュースがたくさんありました。 そういったニュースを見て、「大変だな」、「かわいそうだな」とは思っていたんですけど、正直ピンとこなかったんですよね。やっぱり我が事じゃなくて他人事みたいな感じで捉えていたんだと思います。
ただ、フジテレビの報道を見て「子どもの貧困がまさかこの日本で」と衝撃を受けちゃって…。 そこでおてらおやつクラブさんに「何かできませんか」とメールを送ったのが最初のきっかけです。
その後「何ができるんだろう」と考えていた時に、うちの会社が扱う商品は食べ物から日用品まで多岐に渡るので、色々な企業さんから「これ取り扱ってください!」とサンプルがよく送られてくるんです。このサンプルは、基本は営業活動に活用していて、古くなると社員たちが使ったり、食べたりして消費しているんですけど、正直それだけでは賄いきれなくて捨てちゃうものも結構あったんです。そこで、余ってしまうサンプルを「困っている方に送りたい」と会社で提案するとすぐに賛同いただいて、寄贈支援を始めることになりました。
深堀 たまたまテレビをつけていたときに見かけたのでしょうか?
近藤さん
そうですね、本当にたまたまです。当時私も小学生くらいの子どもがいたこともあって、すごく共感しちゃって、「まさか自分の身近で子どもの貧困問題が起きている」ということをどうしても放っておけなかったんです。
そこでじゃあ「お金を寄付しよう」、「お菓子を寄贈しよう」となるかもしれないんですけど、 それだと1回寄付しただけで終わっちゃう気がしたんです。しかも「お金」ってハードルが高くて、本当に賛同してくれる人しか出さないじゃないですか。
「使わないものを使ってくれる人に」であれば、会社も社員も共感しやすく、さらに持続可能でずっとずっと続けていけるんじゃないかと思い、毎月寄贈させていただく形を取っています。
小林 私も世界の紛争や貧困などはニュースや授業で見ていたんですが、「同じ日本で」というところに同じく衝撃が走って、「何とかしたいな」という思いで、現在は学生アルバイトとして関わらせてもらっています。一見豊かに見えるこの日本で、子どもの貧困問題が起きていることに皆さん衝撃を受けていると感じました。
持続可能なおすそわけ
小林 食品(菓子・レトルトなど)から日用品(マスク・トイレットペーパー・キッチンタオル・スポンジ・文房具など)まで様々なものをご寄贈いただきますが、どのように準備されているのでしょうか?
河原畑さん
自社製造商品で完売となってしまった物のサンプルなどを送っています。また、各協力企業様から「これ営業に使ってください!」 とか 「これどうですか?」とご提案いただくサンプル品は、基本的に営業部や企画部で大切に使うのですが、食品など賞味期限の都合で食べきれない時は廃棄処分になることもあったんです。ただ、捨てるのは忍びないですし、環境にも良いとは全く言えないので、そういった物をおてらおやつクラブさんへの寄贈品として活用させていただいています。
深堀 ちょうど昨日から、送っていただいた寄贈品が全国のお寺さんに届き始めていて、私が住む札幌市内の登録寺院のもとにも届きました。 来週おすそわけの梱包会があるので、ボランティアの方たちと一緒にご家庭向けに箱詰めします。いつも本当にありがたく思っています。
河原畑さん
こちらこそありがとうございます! やっぱり商品なので動きが悪かったり、需要と合わないなどの事情で、商品はすごく良くても、製造上の問題で売れ残ってしまうこともあります。ただ、捨てるという結末は良くないことだと思っているので、 「使えない」とか 「賞味期限切れちゃったからもう捨てちゃおう」 みたいな流れが、おてらおやつクラブさんの取り組みに参加したことで、「いや、捨てる前にこういった支援はできないか」と考えて、実際に現場で支援品として使っていただくことができています。 捨てるだけじゃなく、活用して「物」としての役目を全うできる、という終わり方を用意できたことにはすごく感謝しています。
インタビュー後に行われた札幌でのおすそわけ梱包の様子
おてらおやつクラブに対する意識の変化
小林 寄贈を継続していただく中で、社内で何か反響などはありますか?
河原畑さん
私がおてらおやつクラブさんの担当として、寄贈品の募集からお寺さんへの発送手配までの業務を行っているんですが、「年々社員の取り組みに対する意識が深まってきているな」と感じています。これまではどうしても寄贈の流れが作業的になっていたこともあったんです。
ただ、今は「こういうものを寄贈していて、こういうお声をいただきました!」とか、以前増上寺さんでの活動説明会に参加した際に、「説明会行ってきました!」、「お寺さんに直接マスクを持っていきました!こういうお話を聞きました!」といったレポートを作成し社内掲示板に投稿しています。レポートや写真を共有すると、社員から「いいね!」っていう反応をたくさんもらえますし、コメントでは「いい取り組みですね!」と言ってもらえるんです。
また、うちの会社は北海道から九州まで支店があるんですが、寄贈品を募集すると、 部署を問わず、「今こういうサンプルが支店にたくさんあって、おてらおやつクラブさんに寄贈したいです」と本社へ問い合わせが来ます。
収集する寄贈品の内容については、おてらおやつクラブさんのホームページにある受け入れ可能な品物のリストから伝えているのですが、各支店で考えてくれてるのか、毎回絶対お菓子が入っていたり、子どもが好きそうなキャラ物の雑貨が入っていたりして「ちゃんと考えて送ってきてくれてるんだな」とすごく感じますね。
社員のみんなが「これ余ってるから送っときなよ」じゃなくて、積極的に「おてらおやつクラブさんに送るんだからこういうのにしようよ!」 と、ちゃんと考えて関わろうとしてくれているんだと思います。
近藤さん
正直、取り組みを始めた時は全然そういうことができてなくて……。それこそ社内の掲示板で取り組みの発信やこういうものが欲しいといった呼びかけが全然できていなかったんです。
河原畑が担当してから、掲示板で活動報告やお寺さんへの訪問レポート投稿などの効果がうまい具合に出てきて、社内の人たちも身近に感じて共感してくれているんじゃないかなと思います。
小林 社内の掲示板や先ほどの「三方良し」という言葉のもとに部署の垣根を超えたチームがあるという話から、会社全体のまとまりやつながりがインタビューの合間合間に見えてきて「すごく素敵な会社だな」と伝わってきます。
内海産業さんが送ってくださる寄贈品
支援の手を広げていくために
小林 今後のおてらおやつクラブに期待していることはありますか?
河原畑さん
おてらおやつクラブさんには企業と支援団体、助けを求める方々とをつなぐ架け橋みたいな存在であってほしいなと思っています。具体的には、現在関西をメインとして活動が行われているかと思うんですが、私たちは関東の会社なので、関東でのイベントや取り組みの増加を期待しています。「実際にはこういうことが起きてます」、「こういう声が上がってます」など、今起こってる問題と、「必要な助けがどういうものなのか」、「どうしてその助けの手が必要なのか」を企業側が知れるきっかけを作ってもらえるといいなと思っています。
私が実際に増上寺さんでの説明会に参加してみて、改めて現場で実際に携わってる方、お寺さんや事務局の方の話を聞いてすごく助かったんです。うちの会社がメインで扱っている雑貨は、例えば実用的ですごく良い商品だとしても個人の好みやデザインによっては受け取った側が戸惑ってしまうのではないかとためらう部分もありました。ただ、説明会ではそういった不安や疑問が解決する場でもあったので、会社としても安心して支援できるようになりました。
加えて、支援の手を求める人の生の声や状況などの事情を知ることで、企業側としても、支援にすごく踏み出しやすくなるんじゃないかと思うんです。「うちの会社なんてどうせ役に立つことなんてないよね」から「これならうちの会社でもできるね!」という風につながっていくんじゃないかなと思っています。
私たちとしては、少しでも多くの人の手を取って、みんなが笑顔でいられる社会を作れるように。今後とも引き続きよろしくお願いします!
小林 よろしくお願いします。私もおてらおやつクラブで広報を担当していますが、今全国で起きている問題や、必要となる助けというのは、もっと発信していかなければならないと改めて感じました。
深堀 内海産業さんからいただいた言葉を今後の活動でも大事にし、もっと色々なエリアで活動のことを周知できるように進めていきたいと思います。
河原畑さんが実際にお寺を訪問している様子
インタビューを終えて
「表には出ずにお客さまの思いを形にする」内海産業さん。そして「おすそわけを送る人と受け取る人の思いをお互い、そして社会に伝えていく」おてらおやつクラブ。これは私がインタビューを通して感じた共通点です。世の中には見えないところで支えている人たちがたくさんいるんだと思わせられると同時に、私も社会の支えとなるような人間になりたいと感じる回でした。(小林)
日頃からの多大なご支援に加えて、今回のインタビューにもご協力くださった内海産業の皆さまに、改めて感謝申し上げます。
おてらおやつクラブではこれからも、こうした一つ一つのご縁を大切にし、様々な企業さま・個人さまと協力して子どもの貧困問題の解決に取り組んでまいります。
どうか引き続き応援のほどよろしくお願いします。
*困りごとを抱えるご家庭からの「たすけて」の声に十分に応えていくため、継続的に活動を支えてくださるマンスリーサポーターを募集しています。
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