代表メッセージ
日本国内において子どもの7人に1人が貧困状態にあります。(厚生労働省 2019年国民生活基礎調査より)
「おてらおやつクラブ」は、お寺にお供えされるさまざまな「おそなえ」を、仏さまからの「おさがり」として頂戴し、子どもをサポートする支援団体の協力の下、さまざまな事情で困りごとを抱えるひとり親家庭へ「おすそわけ」する活動です。
活動趣旨に賛同する全国のお寺と、子どもやひとり親家庭などを支援する各地域の団体をつなげ、お菓子や果物、食品や日用品をお届けしています。
全国のお寺と支援団体、そして檀信徒および地域住民が協力し、慈悲の実践活動を通じて貧困問題の解決を目指し、地域での見守りを作っていきます。
「おてらおやつクラブ」の活動は、2018年度グッドデザイン大賞を受賞しました。目に見える物も形もないNPO法人の取り組み、ましてやお寺の関わる活動ということで、賛否両論を巻き起こしている活動でもあります。審査委員の評価はこのようなものでした。
従来、寺院が地域社会で行ってきた営みを現代的な仕組みとしてデザインし直し、寺院の「ある」と社会の「ない」を無理なくつなげる優れた取り組み。地域内で寺院と支援団体を結んでいるため、身近な地域に支えられているという安心感にもつながるだろう。それができるのは、寺院が各地域にくまなく分布するある種のインフラだからだ。全国800以上の寺院が参加する広がりも評価ポイントのひとつであった。活動の意義とともに、既存の組織・人・もの・習慣をつなぎ直すだけで機能する仕組みの美しさが高く評価された。
お寺には沢山の食べ物が、仏さまやご先祖さまへの「おそなえ」としてあります。お寺で修行生活するものは、お預かりした仏さまへのお布施やお供物を「おさがり」としていただきます。こうして「お仏飯」で育てていただける身にありながら、時にはいただき過ぎたお供え物を無駄にしないために、頭を悩ませることもあります。
2013年5月24日大阪のマンションの一室で母子が餓死状態で発見される事件が起こりました。この豊かな日本で餓死なんて・・・胸を痛めました。一日一食の食事に困る子どもたちが増えている、「子どもの貧困」が深刻です。
そんななか、お寺の「ある」と、社会の「ない」をつなげることで、どちらの課題も解決しようというアイデアが思い浮かびました。「おてらおやつクラブ」は仏さまへの「おそなえ」を「おさがり」として「おすそわけ」する活動です。趣旨に賛同する全国さまざまな宗派のお寺さまは現在47都道府県に1,500カ寺ほどあります。母子家庭や生活困窮者を支援する全国500ほどの団体さま(NPO団体や社会福祉協議会、子ども食堂や行政窓口など)と連携し、必要な方々へ「おすそわけ」しています。2017年8月には、特定非営利活動法人おてらおやつクラブとして法人化しました。
「おてらおやつクラブ」は、母子家庭や生活困窮者支援の専門家ではありません。すでに支援活動を行っている専門の団体と連携し、団体を通じて「おすそわけ」を届けています。貧困問題の現場で、その課題の解決には専門的な知識や長期的な寄り添いが必要です。お寺はあくまで、支援団体の後方支援を担うのがその役割です。
「おてらおやつクラブ」に参加するお寺の多くが、身近に貧困問題を考えるきっかけになった、これなら自分たちでもできると思ったと手応えを感じています。仏教は苦しみから逃れるための教えです。苦しみから逃れる教えを説くものは、人々が感じている苦しみを知らなければなりません。苦しみを知り、苦しみから逃れるための教えを実践する。「おてらおやつクラブ」は、まさにお釈迦さまが説く慈悲の実践活動の現場です。
「おてらおやつクラブ」にとって、いちばん大切なものは何か?改めて実感していることがあります。今も昔も変わることなく、お寺が担ってきた役割です。人々が仏さまへの「おそなえ」をこれからもしてくれる場所であり続けるよう、お寺という場所を守っていくということ。昔からお寺という場所で行われてきた仏の慈悲の実践活動、仏さまへの信仰の心を相続していくことが、「おてらおやつクラブ」にとって大切なものであり、それが貧困問題解決のための一助となると信じています。
特定非営利活動法人おてらおやつクラブ
代表理事 松島靖朗 (まつしませいろう)
これまでの歩み
おてらおやつクラブの立ち上げからこれまでの歩みの中で、大きな節目となった出来事を紹介します。
協力企業・団体
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ユニリーバは、創業当初からブランドを通じて社会課題の解決に貢献したいという想いを持ち続けてきました。日本における深刻な社会課題の一つである「子どもの貧困」に対して、企業として何ができるかを模索する中で、単なる経済的支援にとどまらず、社会的孤立をなくしながら持続可能な取り組みをされている「おてらおやつクラブ」様を知り、大変感銘を受けました。「おてらおやつクラブ」様を通して、ラックスやダヴなどの製品を必要な方に「おすそわけ」することで、一人でも多くの方の暮らしに寄り添い、誰もが豊かに生きることが“あたりまえ”になる社会の実現に貢献していければと思います。
ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社
代表取締役社長兼CEO 髙橋 康巳 様 -
この度ご縁があって「おてらおやつクラブ」さまの貧困問題への取り組みを知ることができ、ただの食糧支援だけでなく社会的に孤立しないようにサポートしていく姿勢に共感いたしました。この取り組みに食品メーカーとして何か協力できないかと考え、同じ関西圏にある弊社京丹波工場から商品の寄付を行わせていただくことになりました。弊社の商品がおてらおやつクラブさまの「持続可能な慈悲の活動」を通じて貧困問題解決の一助になれば、と思います。
石井食品株式会社
代表取締役社長執行役員 石井 智康 様 -
井藤漢方製薬は、事業を通し社会的価値の向上を常に目指しております。企業として微力ではございますが、当社が出来得る企業としての責任を想い、この度「おてらおやつクラブ」様と提携させて頂きました。
日本においても発生している、飢餓や栄養不足問題に真正面から取り組まれている「おてらおやつクラブ」様の活動にご協力させて頂く事で、「全ての人が持続的に、笑顔で健康な暮らしを実現できる社会」に貢献できればと思います。
井藤漢方製薬株式会社
代表取締役 井藤 竜生 様
ユニリーバ・ジャパン株式会社 / 石井食品株式会社 / 井藤漢方製薬株式会社 / 株式会社ユーハイム / 株式会社Fast Fitness Japan / 明治安田生命保険相互会社 / 株式会社バリューブックス / JAMMIN合同会社 / 無印良品 近鉄あべのハルカス店 / 無印良品 イオンモール橿原店 / 株式会社 奈良クラブ / 株式会社中川政七商店 / 五代友厚プロジェクト / 公益財団法人日本デザイン振興会 / 公益財団法人日本フィルハーモニー交響楽団 / 株式会社フェリシモ / 大阪ガス株式会社 / 未来食堂 / 株式会社セールスフォース・ドットコム / マイクロソフト / 株式会社 バンビシャス奈良
賛同寺院・支援団体紹介
「おてらおやつクラブ」は、お寺にお供えされるさまざまな「おそなえ」を、仏さまからの「おさがり」として頂戴し、子どもをサポートする支援団体の協力の下、さまざまな事情で困りごとを抱えるご家庭へ「おすそわけ」する活動です。