先日6月14日に、岐阜県可児市・光蓮寺さまをお借りし、おてらおやつクラブ説明会を開催しました。
当日はお寺さまやNPOの方、市役所職員さんなど様々なお立場の方に足を運んでいただき、計17名の皆さまに説明を聞いていただきました。
そしてこちらからお伝えしたいことを話すのみでなく、それぞれの立場やお住まいの環境からしか見えてこない「草の根」の課題や問題意識なども共有していただき、「自分たちの地域における貧困問題の現状」について濃密に語り、学ぶ場ともなりました。
岐阜県は全国的にみると、数の上では「貧困率」と「子どもの貧困率」、どちらも全国平均値を下回っているらしいのですが、来てくださった方々のお話を聞いていると、「数値はあくまで数値でしかない」ということを強く再認識させられます。
「割合はどうあれ、自分の住む地域にも貧困での悩みや、それについて回る様々な問題に困っている人がいる」―そのことに気が付いた人たち、あるいはまさにその中にいる人たちが「じゃあ、どうすればいいのだろう?」と考え、実際に行動を起こしています。そして、その延長線が交わったところに新たな展望や、更なるアクションにつながる原動力が生まれてくるのでしょう。
参加者のある方がこんなことをおっしゃいました。
それぞれの立場でできることを長くつながりながらやっていくこと、絡まってしまった問題を一つひとつ一緒に考えていくことの大切さを実感しています。『出会って、繋がって、支えあって』が、私たちが生きていく上で一番大事で、尊いことですよね。
私たち一人でできることといったら、ほんの小さなことかもしれません。しかし小さくても何か行動を起こすことで、それに響き合う人たちと出会い、お互いに知恵を貸し合うことで行動の選択肢が増えます。「息長く活動を続けることが重要である」という言葉をよく耳にしますが、そのための基盤はやはり「人との出会い」なのだろうということを改めて感じた次第です。
今後も各所で説明会を開催する予定です。おてらおやつクラブの説明会は、単に説明を聞いてもらうだけの一方通行の場ではなく、いろいろな立場の方が出会って、それぞれの思いの丈を交わらせる、いわば「交差点」であると思っています。
自分一人での歩みは一本道をまっすぐ歩くようなもの。しかし、はたと交差点に差しかかると「右に行こうか?左に行こうか?」「それともまっすぐ?」というように自分がたどるルートの選択肢が増えます。
同じように人との出会いというのも、自分の歩みに無数の選択肢を与えてくれる貴重な宝物なのではないでしょうか。
これから先も、説明会やその他さまざまな場面での皆さまとの出会いを活力にして活動を継続していきますので、どうぞよろしくお願いします。
(文・林昌寺副住職 野田芳樹)