代表メッセージ
「たよってうれしい、たよられてうれしい。」うれしいを実感できる社会をめざして
2013年5月24日、大阪市北区のマンションの一室で、28歳の母親と3歳の息子が餓死状態で発見されるという痛ましい事件がありました。「最後にお腹いっぱい食べさせたかった。ごめんね。」報道で伝えられた一枚のメモが、いまも私の胸に深く残っています。
飽食とフードロスの時代に、食べるものがなくて命が失われる。そんな悲劇が、私たちのすぐそばで静かに起きていたのです。この出来事が、「おてらおやつクラブ」の原点になりました。
お寺に集まる「おそなえ」を、仏さまからの「おさがり」としていただき、ひとり親家庭など生活が困難な状況にあるご家庭へ「おすそわけ」する。お寺の慣習と社会の困りごとを結びつけた、ささやかな活動から始まりました。
はじめは、個人で細々と始めた取り組みでしたが、いまでは全国2,200以上のお寺が参加し、認定NPO法人として活動しています。届け先は、全国のひとり親家庭など生活が困難な状況にあるご家庭。そして、そんなご家庭を支援する団体や自治体の窓口。つながりのできたご家庭は17,000世帯となりました。でもまだまだこれからです。
※「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」によると、全国135万世帯のひとり親世帯うち、母子・父子のみの世帯が85.5万世帯。「令和4年国⺠生活基礎調査」では、ひとり親家庭の貧困率は44.5%と言われており、おてらおやつクラブ事務局で85.5万×44.5%として38万世帯を算出しています。
私たちのもとには今も連日「たすけて」の声が届きます。
「自分は食べない生活です」「不安で仕方がありません」「誰かに少しでも甘えたかった」
必要なのは、食べ物や日用品だけではありません。「知らない誰かが自分のことを気にかけてくれている」——その感覚が、お母さん、お父さんや子どもたちの孤独をやわらげ、日々を支える力になります。
コロナ禍では、支援がますます求められる一方で、孤立も深まりました。私たちはLINEでの相談受付や匿名配送の導入など、「おすそわけのDX化」に取り組んでいます。名前を伏せる「匿名の支援」は、誰にでもできる形にするための工夫でもあり、見返りを求めない利他の実践です。
「ポテトチップスが食べたい」そんな、思わず笑ってしまうようなリクエストも届きます。
でもそれは、いろいろなことを我慢してきた子どもが、ようやく子どもらしい姿を見せてくれたという証でもありました。
子どもの貧困とは、単なる経済的な問題ではありません。「貧」と「困」が重なったとき、人は社会とのつながりを失い、「生きる」ことそのものが危うくなります。 だからこそ、声なき「たすけて」に耳を澄ます力と、「たすけて」に応える仕組みが、いま必要なのです。
「たよってうれしい、たよられてうれしい。」そんな社会を、みなさんと一緒に育てていけたらと願っています。

特定非営利活動法人おてらおやつクラブ
代表理事 松島靖朗 (まつしませいろう)
代表理事 松島のラジオがvoicyで始動!
おやつの活動をはじめて早10年あまりが経ちました。「ひとを助ける」とはどういうことだろう。毎日そんな事を考えています。誰かのために、社会のために生きることについて、「利他」という言葉を切り口に、おやつの活動のこれからについて考えるラジオを開設しました。フリーマガジン「てばなす」は年に一度の発行ですが、ラジオは不定期ながらほぼ毎日配信しています。みなさんの「てばなす」エピソード、ぜひ聞かせてください。
これまでの歩み
おてらおやつクラブの立ち上げからこれまでの歩みの中で、大きな節目となった出来事を紹介します。
協力企業・団体
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ユニリーバは、創業当初からブランドを通じて社会課題の解決に貢献したいという想いを持ち続けてきました。日本における深刻な社会課題の一つである「子どもの貧困」に対して、企業として何ができるかを模索する中で、単なる経済的支援にとどまらず、社会的孤立をなくしながら持続可能な取り組みをされている「おてらおやつクラブ」様を知り、大変感銘を受けました。「おてらおやつクラブ」様を通して、ラックスやダヴなどの製品を必要な方に「おすそわけ」することで、一人でも多くの方の暮らしに寄り添い、誰もが豊かに生きることが“あたりまえ”になる社会の実現に貢献していければと思います。
ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社
代表取締役社長兼CEO 髙橋 康巳 様 -
この度ご縁があって「おてらおやつクラブ」さまの貧困問題への取り組みを知ることができ、ただの食糧支援だけでなく社会的に孤立しないようにサポートしていく姿勢に共感いたしました。この取り組みに食品メーカーとして何か協力できないかと考え、同じ関西圏にある弊社京丹波工場から商品の寄付を行わせていただくことになりました。弊社の商品がおてらおやつクラブさまの「持続可能な慈悲の活動」を通じて貧困問題解決の一助になれば、と思います。
石井食品株式会社
代表取締役社長執行役員 石井 智康 様 -
井藤漢方製薬は、事業を通し社会的価値の向上を常に目指しております。企業として微力ではございますが、当社が出来得る企業としての責任を想い、この度「おてらおやつクラブ」様と提携させて頂きました。
日本においても発生している、飢餓や栄養不足問題に真正面から取り組まれている「おてらおやつクラブ」様の活動にご協力させて頂く事で、「全ての人が持続的に、笑顔で健康な暮らしを実現できる社会」に貢献できればと思います。
井藤漢方製薬株式会社
代表取締役 井藤 竜生 様
ユニリーバ・ジャパン株式会社 / 石井食品株式会社 / 井藤漢方製薬株式会社 / 株式会社ユーハイム / 株式会社Fast Fitness Japan / 明治安田生命保険相互会社 / 株式会社バリューブックス / JAMMIN合同会社 / 無印良品 近鉄あべのハルカス店 / 無印良品 イオンモール橿原店 / 株式会社 奈良クラブ / 株式会社中川政七商店 / 五代友厚プロジェクト / 公益財団法人日本デザイン振興会 / 公益財団法人日本フィルハーモニー交響楽団 / 株式会社フェリシモ / 大阪ガス株式会社 / 未来食堂 / 株式会社セールスフォース・ドットコム / マイクロソフト / 株式会社 バンビシャス奈良
賛同寺院・支援団体紹介
おてらおやつクラブに登録している全国のお寺さま、支援団体さまをご紹介しています。