2020年度 直接支援家庭向け調査のご報告

認定NPO法人おてらおやつクラブは、事務局から直接的に支援を受ける家庭について家庭を取り巻く環境や、当団体とのつながりに対する意識や実態を把握し、今後の活動の示唆とするため調査を実施し、報告書をまとめましたのでお知らせいたします。

■調査結果サマリー
今回の調査からは、下記の3点が主なポイントとして挙げられます。

1.直接支援を受ける家庭のうち、7割弱はコロナ禍により収入が減少。また、家族の在宅時間が長くなることで支出も増え、生活困窮度は高まっている。

2.直接支援を受ける家庭は、公的支援の受給率が高くなく、おてらおやつクラブ以外の支援団体とのつながりは希薄である。

3.直接支援により、心理的状況が改善された方は9割以上を占め、経済的な状況改善(8割)を上回る。

▼調査報告書PDF(詳細はこちらをご覧ください)

■代表コメント
◯松島靖朗/認定NPO法人おてらおやつクラブ代表理事

コロナ禍、全国のお母さんから「たすけて」の声が急増しています。

「おてらおやつクラブ」は地域で人々が繋がり、助け合う社会の創出を目指していますが、現実はまだまだそのような社会とは程遠い状況にあります。今回の調査結果にもあるように、多くのお母さんたちが急激な変化や制度のはざまで苦しみ、日々の生活困窮度が増しています。いつまで続くかわからない状況で、「いま・ここ」での苦しみに加え、この先も見通せない不安を抱えておられます。困難を和らげるためのさまざまな選択肢につながることができていない実態も浮き彫りになりました。
自助がままならない状況で、地域にある公助や共助にもつながれない。その理由はさまざまです。個々のケースを分析しながら解きほぐしていくこと、そして適切な問題解決策へと「はしわたし」していくことも私たちの役割の一つです。より一層、支援団体さまや行政機関との連携の重要性が増しています。

連携する団体で活動する学生さんが「おてらおやつクラブの活動は”遠くの親戚より近くの他人”を実践していますね」と評してくれました。さまざまな支援団体が立ち上がり、地域で活動を続けられていますが、地域で困窮する世帯とつながることがなかなか難しい状況の中、奈良県にある「おてらおやつクラブ」に全国からこれだけ「たすけて」の声が届くことの不思議さを紐解いてくれました。
それぞれが抱える困難の解決に、アクセスしやすい「近さ」と、近すぎない関係だからこそ悩み事を打ち明けられる「他人」の存在が大きな力になる。スマートフォンでインターネットにつながっていることがライフラインとなっている困窮世帯にとって、365日24時間「たすけて」の声を送信できる窓口の存在が頼りになり、その運営に「見返りを求めない」「なんらかの解決策を一緒に考えてくれそう」なお坊さんの存在を頼りにしてくれている、まさに「近くの他人」となっている、というのがその分析です。当活動が「近くの他人」として機能し続けることで、相対的貧困の課題である「社会からの孤立」の解消に大きく寄与し得ると考えています。

実際にそのような役割が果たせているか・・・まだまだ道半ばですが、ひきつづき全国から届く「たすけて」の声にお応えできるよう、活動を続けていきます。

今回の調査結果をもとに、物心ともにいっそう充実した支援活動を実現できるよう努めてまいります。引き続き応援のほどよろしくお願いいたします。

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