相愛中学校・高校の皆さまからの感想文

学校法人相愛学園 相愛中学校・高等学校の宗教教育研修会にて2021年11月25日、おてらおやつクラブ代表理事の松島靖朗が登壇し、当団体の活動内容や日本における子どもの貧困問題についてお話ししました。

講演後に学生の皆さまが自分たちにできることについて考え、丁寧な感想文を送ってくださいました。その内のいくつかを、以下に紹介いたします。
いずれも気づきにあふれる素晴らしい文章ですので、ぜひご一読ください。

*すべて掲載許可を頂いています。

▼感想文

お内仏報恩講(中学1年生 Aさん)

先日、お内仏報恩講のお勤めがありました。そこで、お話に来てくださった松島先生から、子供の貧困についてのお話を聞きました。この、ものにあふれた日本に、子供の貧困があるのかと、初めは驚きました。でも、お話を聞くうちに、小学校二年生で突然転校した友達のことを思い出しました。

その友達は、両親と暮らしていましたが、お母さんが知らない間にいなくなり、お父さんは病気で仕事をしていないようでした。いつも同じ服を着回していたし、体操服も持っておらず、クリスマス会をした時は、プレゼントとして自分が普段使っているコップを袋に入れて持ってきたりしてました。「私、毎日ステーキ食べてるねん。」とか、「今日はホテルから登校してきてん。」と言う嘘をつくようになり、次第に周りから孤立していきました。なぜか、私のことは受け入れてくれたようで、クラスも違うのに、休み時間になるとよく二人でジャングルジムの上で過ごしました。私が覚えているのは、そこから見えた校庭の様子だけで、何の話をしたのか今では思い出せません。

ある日、その友達はおばあちゃんと暮らすかもしれないと言い、その後すぐに学校に来なくなりました。松島先生の話を聞いて、私の中のどこかに残っていた後悔がよみがえってきたような気がしました。あの当時、私はその友達に何もしてあげられませんでした。助けてと言う事は恥ずかしいことじゃないと言う松島先生の言葉がずっと胸に残っています。その言葉をあの時の友達にかけてあげられていたらと思います。

今、友達がどんな生活をしているのか分かりません。もし困っているなら、この活動を友達が知ってくれていたらと願います。どうか孤独でないことを願います。私ももう少し大人になったら、誰かの役に立てる活動に参加してみたいと強く思いました。

私たちの大きな問題(中学3年生 Bさん)

言うのは簡単でもするのは難しいということがこの人間界にはたくさんあると思います。例えば、何時から勉強すると言っていても結局できなかったといったことや、毎日ちゃんと世話するからペットを飼いたいと子供が言っていても、最終的には大人が世話をしたりするといったことがあります。もっと大きなことでいえば、地球温暖化、戦争、貧困といった問題が挙げられます。

では地球温暖化はどうやったら解決されますか?という問いに答えてみるとします。「クーラーの温度を二十八度にする。」「車ではあまり出掛けないようにする。」などなど。私たちは口ではこう言っていますが、実際はどうでしょうか。真夏の暑い日にクーラーを二十八度に設定していますか。何か家族で遊びに行く時車を使っていませんか。私はできていないんです。貧困の話題もそうです。

私たちは、簡単に貧しい人のためにボランティアをするとか言うことはできますが実行するのは大変です。だから私は口だけではなく実行できるようにすることから始めていくべきだと思っています。貧しい人や悩み事がある人、まずは身近にいる人のお話だけを聞く、そしてそれができれば支援する。それもできればもっと遠くでとても辛い思いをしている人を助ける。環境も同じで、身近なところからきれいにしていくことでよりよく世界が作れると思います。

今、この世界で起きている問題は、一人ひとりが気をつけなければならないことです。口だけではなく実行するところまで行くにはどうしたら良いのか考えて、より良い社会を作っていくべきだと思います。人と人、人と自然は助け合いながら成り立っていると思うので、そこを意識して平和を守れる一人になればいいなと思っています。

今の私にできること(中学3年生 Cさん)

今日のお話を聞きわかったことが二つあります。

一つ目は貧困は二種類あると言うことです。私が理解していた貧困とは、絶対的な貧困でした。貧困で苦しんでいる人は外国の人で、ユニセフに3,000円寄付すると深刻な栄養不足の子供を回復させる治療用ミルク164回分に変えることができると小学生の時に学び、どこか遠い国のお話だと思っていました。

しかし、現代の日本にも相対的貧困と言うものがあり、生活に困窮する子供の割合が、大阪府は21.8%と多いことを知り、とても驚きました。同時に私が日々何不自由なく生活できていることに感謝の気持ちでいっぱいになりました。

貧困問題の背景にはひとり親家庭があり、ひとり親家庭の半分は貧困状態、孤立して助けを求められないことをきっかけに貧困の連鎖が起こり、貧困が親から子へ負の連鎖を起こしているということも知り、胸が苦しくなりました。家に帰り早速、おてらおやつクラブ・支援すると検索してみると、支援は食べ物に限らず古本・マスク・除菌グッズ・文具なども可能で支援の方法もいろいろあると知りました。

二つ目は、困っている人を助けるのは、簡単?難しい?の答えです。私のクラスで私が困っているときのことを考えてみると、「大丈夫?先生呼んでくるね。」など誰かが必ず声をかけてくれることに気づきました。今の私にできる事はこれです。人を助けると考えると、まだ難しいかもしれません。しかし、気にかけて声をかけ一緒に助けを求めることができると気づきました。今ならおてらおやつクラブのことを調べたので、存在を教えることもできます。

周囲の人を思いやり、気にかけともに助け合うことが大切なのではないか。これが私の答えです。

報恩講の法話(高校1年生 Dさん)

今回の御法話のテーマ「誰かを助ける助けられる」について私は最近でとても助けられたことがあります。

私は、膝を怪我していて松葉杖をついていました。その怪我の通院で千葉に松葉杖で行かなければならず、両親も都合が悪く一人で飛行機で行きました。松葉杖はとても不便でたくさんの人に助けられました。CAさんに気にかけてもらったり、後ろの席や隣の人に降りるのを待ってもらったり、親切で優しい人ばかりですごくありがたいと思いました。しかし、偶然、その日の千葉で大雨が降っていました。松葉杖で両手がふさがって傘をさせずどうしたらいいかとても困っていました。雨のせいで地面も滑るから急いではいけないし、目的の場所まで少し距離がありました。少しどうしようかと考えていると、一人の大人が声をかけてくれて、その目的の場所まで傘をさして送ってくれました。

そのとき私は、とても嬉しくてありがたくて何か恩返しがしたいと思いました。でもその恩返しは次私が困っている人を見つけたときに、その困っている人を助けることなんだと思いました。

その出来事をお母さんに伝えたときに、お母さんは、「助けられた方もいい気分になるけれど、助けた方はもっといい気分がするよ。」と言われ、私は、自分自身がとても困って目の前が真っ暗になっていた時に光を注いでくれるようだったその出来事を絶対に忘れません。助けてもらった感謝を忘れず、積極的に困っている人がいたら助けたいと思いました。

ひとりで生きていく(高校2年生 Eさん)

コロナウイルスが流行し始めてから、以前より支え合うことの大切さを感じていましたが、今回のお話を聞いて、支え合って生きていくことのむずかしさをより感じました。私たちは誰もひとりでは生きていないはずなのに、頼れる人がいなかったり、頼り方が分からなかったりすると簡単に「ひとりで生きている」気持ちになってしまいます。そのようなときに、頼れる場所やたすけてというSOSに気付いてくれる人がいるとこの世は全く違うものになると思います。

今回のおてらおやつクラブは、まずしい子供たちに手を差し伸べられる、今の日本に必要不可欠なものだと感じました。子供にとってお菓子を食べるということは、お腹を満たす食事とは違い、こころも満たしてくれるような特別な経験だと私は考えています。これから何十年も生きていく子供たちは、おてらおやつクラブでもらったお菓子の味を忘れてしまうかもしれませんが、あのときお菓子をくれた人がいるということは決して忘れないのではないでしょうか。

“独り”ではなく、”一人”で生きていくために、たすけてがきこえて、たすけたいが叶うような世の中にしていかなければならないと思いました。

当団体の活動が、中学生・高校生の皆さまにとって「子どもの貧困問題」について深く考え、自分にできることを見つけるきっかけとなれたことを嬉しく思います。

今回得られた気づきが、これまで聞こえなかった「助けて」の声をすくいあげる力に繋がることを願っています。

おてらおやつクラブでは、中学や高校・大学などでの講演会も随時受け付けています。ご希望の方は、ぜひ以下のフォームよりお申し込みください。

▼講演依頼フォーム
https://otera-oyatsu.club/activities/edification/lecture/