“独りぼっちじゃない”をこれからも 居場所事業、新たなかたちへ

認定NPO法人おてらおやつクラブでは、2022年度より「子どもの居場所事業」をスタートし、「子どもが独りぼっちだと感じないためのつながりを地域につくる」ことを目的に、事務局のある奈良県田原本町を拠点に活動してきました。

このたび、2025年4月からは、これまで本事業を担ってきた職員の中野と地域の若者たちが新たに団体を立ち上げ、活動を引き継いでいくこととなりました。

これまでご支援・ご協力をいただいていた皆さまに、心より感謝申し上げます。
本記事では、2022年度から実施してきた活動の報告と、今後の展望についてご紹介します。

活動報告

この3年間、小屋の改修をはじめ学習会や体験活動、フリースペースの開放、中高生企画、テラマエボード、親子発送会など、さまざまな活動に挑戦し、のべ1,848名の方々とつながることができました。

ご参加・ご協力いただいた皆さま、本当にありがとうございます。

2022年 小屋の改修

2022年 中高生による企画 高校生サンタが地域の子どもたちへお菓子をプレゼント

奈良県田原本町と認定NPO法人おてらおやつクラブは、2020年7月に「ひとり親家庭への支援に関する協定」を締結し、ふるさと納税を活用したクラウドファンディングを実施してきました。多くの方に想いを寄せていただき、ご寄付の一部を居場所事業の活動資金として活用しました。

2023年12月 テラマエボード(地域の子どもたちがその月のお題に答える掲示板)

2023年 フリースペースあまとう

2025年 あまとう親子発送会 支援団体さまへのおすそわけを親子で梱包

この3年間の活動を通して、子どもたちやお母さん・お父さん、ボランティアに参加する若者のさまざまな声を聞くことができました。

子供は帰宅後、かくれんぼしたことやサンドイッチを作ってたべたことなどを楽しそうに沢山話してくれました。
近所の同級生は皆学童にいっているため、放課後に友達と遊ぶということはほとんどなく、子供会もコロナ以降は活動がほとんどなくなりました。
今回も貴重な体験をさせていただきました。関係者の皆さま、ありがとうございました。
(小学校1年生のお母さん)

2025年 あまとう体験活動 サンドイッチづくり

満足度100%でした!また行きたいです!
(小学校3年生)

木曜日が楽しみになりました。
学校も行けてないし、勉強する場所もあんまりないから無くならないでほしい
(中学1年生)

2024年 あまとう学習会 中高生向けの学習支援

あまとうの活動はボランティアからしてもいつも実家やおばあちゃん家に戻ってきたかのような安心感があります。今まで、他のボランティアもしてきたけどこのような感覚は初めてでした。
それはきっと子どもたちも同じような感覚を持っていると思うし、色んな家庭環境がある中で子どもたちにとって第2、第3の家の役割を果たしていると思うので、それが他にはないあまとうの活動の魅力だと感じています。
(19歳/大学生ボランティア)

今後の展望

事業担当職員の中野麗菜(なかの・れいな)より、これまでの居場所事業と、これからの団体の活動に込めた想いをお伝えします。


皆さま、こんにちは!
居場所事業担当職員の中野麗菜です。

おてらおやつクラブの居場所事業として、3年間活動してきましたが、2025年4月から、私とボランティアとして関わってくれていた若者たちで新たな団体を立ち上げ、活動を引き継ぐことになりました。

私自身、さまざまな困りごとを抱えた家庭で育ちました。
塾に行きたくても行けない、家庭環境が大きく変化し気持ちがついていかなくなっても友達には重くて相談できない…。将来が何も見えず不安な日々を過ごしていました。

そんな中、中学3年生のときに貧困家庭を対象に大学生が勉強を教えてくれる学習会に出会いました。誰かに言われてやっているわけではなく、身内でもない私のために、時間を使って一緒になって真剣に考えてくれる大学生の姿を見て、人生で初めて「こんな大人になりたい!」と思えました。
そんな人生の先輩の姿を追いかけていたら、おてらおやつクラブの居場所事業と出会い、現在は事務局職員として働いています。

一方で、地域のつながりが薄れる中、「つらい時にたすけてと言える環境がない」「知らないことを知る機会がない」ままの子どもたちが増えています。「こうするしかなかった」「ここに行くしかなかった」と話す子どもたちとも出会ってきました。

新しい団体では、「何かしたい」と思っている若者たちと、「安心して過ごせる場所を探している子どもたち」をつなぐ役割を担っていきたいと考えています。子どもや若者が自分の将来を意識し、自らの意思で選べるように選択肢を広げ、自信を持てるような社会になることを願っています。

学生や若者が中心の活動となることで、これまで通りの活動が難しくなったり、さまざまな変更があるかもしれません。それでも、学生や若者だからこその関わりを地域につくっていけたらと思っています。

新しく立ち上がった団体の名前は「こども支援団体 ここいと」です。

「心の居所(いどころ)」、「心と心・心と社会をつなげる糸」そして、「ここから社会や地域へつながる糸口(きっかけ)」になれたらという思いを込めました。関わってくださるみなさんが、「ここに居たい」「ここいと(こ~!)」と思えるような場所と活動を目指していきます。

これまで参加してくれていた子どもや若者たちが引き続き安心して来られる場所を、まだ出会えていない皆さまとつながる機会を、これからもたくさんつくっていきたいと思っています。

地域の子どもたちの活動、学生・若者たちの挑戦をこれからも応援いただけますと幸いです。
引き続き、応援をよろしくお願いいたします。

▼「こども支援団体 ここいと」 instagramアカウント
https://www.instagram.com/place_cocoito/