おやつカンパニーさまにインタビュー 〜「もったいない」精神の共鳴〜

認定NPO法人おてらおやつクラブは、さまざまな企業さまとも連携を重ねながら「子どもの貧困問題」の解決を目指しています。日ごろ支えてくださっている企業さまに、どんな想いを持って協力していただいているのかをインタビューしていく企画をシリーズ化してお届けしていきます。おてらおやつクラブに日々ご協力いただいている企業さまの想いを深く知っていただくことで、子どもの貧困問題への多様な取り組み方・向き合い方について考えるきっかけになれば幸いです。

第1弾はDaigasグループさまにインタビューを実施し、寄付をいただいた経緯や支援を通じての期待などについてお聞きしました。

▼インタビュー記事 第1弾
Daigasグループさまにインタビュー 〜支えていただいた3年間を振り返って〜

第2弾である今回は、2021年7月から現在まで多大な支援をいただいているおやつカンパニーさまの外海さん・諸岡さんに、理事の野田と広報職員の小林がインタビューしてきました。

和やかな雰囲気でインタビューさせていただきました


■おてらおやつクラブを支援していただくことになったきっかけ

小林 ──どのようなきっかけでおてらおやつクラブを支援していただくことになったのでしょうか?

外海さん

当社ではSDGs活動の一環として、「つくる責任・つかう責任」目標の達成に向けて、製造した商品のロス削減に取り組んでいます。
しかし、日々の商売で賞味期限までの期間が短くなり、販売が難しくなる商品が発生することがあります。
「まだ賞味期限内でおいしく食べられるはずなのに捨ててしまうのは『もったいない』」と思案しているなかで、おてらおやつクラブさんの支援活動の情報を知っていた社員から「一度おてらおやつクラブさんに確認してみては?」と提案を受けたことが、おてらおやつクラブさんを支援することになったきっかけでした。

野田 ──その社員さんはどういったきっかけで私たちのことを知ってくださったのでしょうか?

外海さん

その社員はテレビのニュースで拝見したことがあり、私自身もテレビで一度見かけたことがありまして、お互いおてらおやつクラブさんの活動についてどんなことをされているのか、何となく知っていました。
結果的に、メディアやその他情報からおてらおやつクラブさんの活動を知っていたということが支援するきっかけとなりました。

小林 ──他にも食料支援を行っているNPOやフードバンクなどがありますが、その中からおてらおやつクラブを選んだ決め手などはありますか?

外海さん

過去から他の団体に対して、イベントなどの物品協賛は行ってはおりましたが、食料(お菓子)支援という観点では、おてらおやつクラブさんとの提携以来、定期的に行うようになりました。おてらおやつクラブの誕生経緯や理念に共感しただけでなく、私たちとおてらおやつクラブさんの共通点を多く感じたことが理由です。

おてらおやつクラブさんの始まりは、いただいたおそなえものが食べきれなくて余ってしまうことを「もったいない」と感じ、それをおすそわけとして支援につなげるという考えから生まれたと伺いました。
私たちも先輩方から、ベビースターのルーツとその名前の由来を会社の歴史と共に教えていただくのですが、おなじみのベビースターラーメンも乾麺の製造過程で出てしまう、麺のかけらを「もったいない」と思ったところが誕生のルーツとなる商品です。また、「ベビースター」という名前は、子どもたちのおやつの一番になるようにとの願いを込めて名付けられており、その他にも「ブタメン」などお子様の視点に立ち、遊びゴコロあふれる商品を開発してまいりました。

そんな両者の、この「もったいない精神」、「子どもたちの視点に」という共通点に結びつきを感じ、おてらおやつクラブさんの支援の輪に加わらせていただくこととなりました。

野田 ──私もおやつカンパニーさんのホームページを拝見し、ベビースターラーメンの誕生秘話を知る機会があったのですが、外海さんがおっしゃるように、おてらおやつクラブとベビースターラーメンには共通点があると感じます。
今でも社員さん方が会社の歴史を共有していることは、素晴らしい社風ですね。

1959年「もったいない」精神から初めて誕生した「ベビーラーメン」


■ご寄贈品が生まれてくる過程

小林 ──無償でベビースターラーメンやブタメンなどをご寄贈くださいますが、それはどのような形で生じてくるのでしょうか?

外海さん

需給ギャップが発生し、取引先様である小売業様、卸様でお取り扱いができなくなった商品や賞味期限までの期間が短くなり販売が難しくなった商品が発生するためです。
私たちは日本全国の店頭でお客様が欲しい商品がない・足りないということがないように。さらに、必要以上に商品が余り過ぎることがないように、小売業様・卸様と協力しながら予測をしますが、どうしてもズレが生じてしまうため、賞味期限内の売り切りが難しくなることもあります。
これらの商品は通常の販売ができないため、おてらおやつクラブさんに寄贈するという形をとっています。


■社内での反響

小林 ──寄贈を継続していただく中で、社内で何か反響などはありますか?

外海さん

近年、コロナ禍と物価上昇の影響により、支援を必要としている家庭についての話題がメディアでも頻繁に取り上げられるようになったと感じています。このような状況下で、当社の社員もおてらおやつクラブさんへの支援活動を通して、現実問題として厳しい生活を余儀なくされているご家庭、子どもたちがいるということへの認識を新たにしている者が増えたと感じています。
また、提供した商品に対して子どもたちから手書きの絵つきメッセージをいただくことがあり、社員たちにも共有しているのですが、「支援してよかった」と心が温まる思いになる社員が多く、おやつカンパニーとしてもお役に立てていることを大変うれしく思っています。

野田 ──歴史の長いおやつカンパニーさんの社会貢献活動の中で、おてらおやつクラブもパートナーとなれていることはとても嬉しいです。
また、実際におすそわけを受け取られた方々の声を共有することで、社員さんにとって製品販売とは違った形のやりがいに繋がっているのならば、こんなに嬉しいことはありません。

野田 ──その他、社員さんからの声やエピソードなどはありますか?

外海さん

当社の営業社員から、おてらおやつクラブとの提携を機に、「フードバンクなど色々な組織もあるので支援活動を広げましょう」との声を聞くようになったと感じています。
私自身もおやつカンパニーの窓口として対応しているなかで、おてらおやつクラブさんのホームページを読むことで、これまでそんなに知らなかった現実問題を社員と共有することができ、社員の理解も徐々に深まっていると感じています。

諸岡さん

私たちはこれまでも、子どもたちを中心にしたイベント活動や団体様への商品提供という形の寄付などを行っていますが、それは、楽しいイベントやお祭りごとへの協賛という形が主でした。そのため、親の貧困が子どもにも伝わってしまい、子どもたちが苦しい環境に置かれている現状について、この豊かな日本ではなかなか気づきにくいなかで、「おてらおやつクラブさんの活動を知ることができて良かった」と私は感じています。
私たちは商品を通じて子どもたちの夢や想像力を豊かにすることを目指して企業活動を行っています。ですので、私どもでご協力できるのであれば、最大限私どもを活用していただければとも考えております。

「おそなえ」として贈ってくださるベビースターラーメン


■おてらおやつクラブと共鳴する理念

小林 ──おてらおやつクラブの良いところ、また貴社の文化と共鳴する理念などはありますか?

外海さん

まず「食べきれないお供え物を無駄にしない」という思いから生まれた「おそなえ」を「おさがり」として「おすそわけ」するというおてらおやつクラブさんの活動は素晴らしい取り組みだと感じています。
さらに、現在では47都道府県の1,875の賛同寺院と全国710の団体さまと連携をとり、支援の輪を拡大している点や、今回のクラウドファンディングの活動でも「おすそわけの配送費」を捻出するなどの結果につながっている点も素晴らしいと感じています。またこれにより、多くのご家庭や子どもたちへの支援が実現していると思います。

また当社の経営理念は、「たっぷり、たのしい、“おやつ”と“夢”の創造」を掲げておりまして、いつもこどもの視点からたっぷり満足感のあり、遊びゴコロ溢れる、たのしい“おやつ”を提供し、たっぷり、たのしいおやつ作りに努めています。
食に携わる企業として、「支援を受けている“子どもたち”にもおやつを食べることで、空腹を満たすためだけでなく、精神的な満足感、そして、たのしさも感じてもらいたい」という願いがあります。

野田 ──私も以前ホームページのおやつ考を拝見しました。特に感銘を受けたのは末尾に書かれている「いつの時代も空腹を満たすことがおやつの本質であり、おやつの不変の定義」という文言です。この考え方はおてらおやつクラブの活動とも通じるものがあると非常に共感しました。
私たちがおやつをおすそわけしていることに対して、中には「おやつではなく、もっと栄養のあるものを渡すべきではないのか?」といった声や、「おやつなんて体に悪い。子どもに与えるな!」という声も稀にあったりします。
ただ、実際に生活に困っている方々にとっては、まずは空腹を満たすということが切実な問題です。おやつは、外海さんがおっしゃったようにお腹と心の両方を満たし、楽しさを提供できるものだと思っています。

外海さん

やっぱり大人もですが、特に子どもの頃は「おやつを食べれること」って楽しい思い出ですよね。私も小学生の子どもを持つ親なのですが、子どもがお菓子コーナーで何百円か持って自分で買える範囲のお菓子を一生懸命探している姿を見ると、「彼らにとっては楽しみの一つとしておやつを選ぶことがあるんだな」と感じます。
ですから、やはりおやつを食べれない子どもたちのことを考えると、私は「おやつというのは本当に空腹を満たすだけのものじゃなくて精神的にも満足感を与える楽しみのあるものであってほしい」という思いが強くあります。

おやつは、子どもを笑顔にする


■おてらおやつクラブへの期待

小林 ──今後、おてらおやつクラブにどのような取り組みを期待されますか?

外海さん

まずは、今まで以上に賛同寺院、協力団体さまと連携し、全国から寄せられる多くの「たすけて」の声に応えてもらいたいです。
そして物資の支援だけでなく、おてらおやつクラブさんの活動自体が、支援を受けられるご家庭や子どもたちの心の支えとなり、元気を届けられる活動であることを願っております。
当社も微力ではございますが、引き続き支援をさせていただきます。

野田 ──私たちもおやつなどを箱詰めをして送る際に、「物を通じて心を届ける」ということを非常に大事にしています。
経済的に困難を抱えるご家庭に、「おすそわけ」を届けてもすぐに経済状況が改善するわけではありません。しかし、「おすそわけ」が手元に届くということは、それを用意してくださったおやつカンパニーさんのような企業さんや、お寺におそなえくださった方々、それを詰めてくれた人、運んでくれた人… といったさまざまな人の背景が見えてくる瞬間だと思います。
子どもの貧困問題の中で解決すべき重要な課題は孤立感の解消であり、私たちはいかにここに寄与できるかに腐心しています。今まで頂いた言葉は、必ずやお母さんや子どもたちの活力になると思います。受け取られる方に、皆さんの想いをしっかり伝えていきたいと思いを新たにしました。


常日頃からのご支援に加えて、今回のインタビューにもご協力いただいたおやつカンパニーの皆さまに、改めて感謝申し上げます。

おてらおやつクラブではこれからも、こうした一つ一つのご縁を大切にし、様々な企業さま・個人さまと協力して子どもの貧困問題の解決に取り組んでまいります。

どうか引き続き応援のほどよろしくお願いします。


*困りごとを抱えるご家庭からの「たすけて」の声に十分に応えていくため、継続的に活動を支えてくださるマンスリーサポーターを募集しています

継続寄付ご案内の専用ページを立ち上げ、私たちが過去に受けとったお母さん・お父さんからのメッセージをもとに編集した、3人のお母さんのエピソードをつづりました。

ぜひ以下URLよりご一読のうえ、お力添えいただけますと幸いです。

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