石井食品さまにインタビュー 〜食品を通じて子どもたちを笑顔に〜

認定NPO法人おてらおやつクラブはさまざまな企業さまと連携を重ねて「子どもの貧困問題」の解決を目指しており、協力企業さまは私たちの活動継続に欠かせない心強いパートナーです。

そんな私たちの活動を支えてくださっている企業さまに「おてらおやつクラブに協力する想い」についてインタビューをし、シリーズ企画としてお届けします。おてらおやつクラブに日々ご協力いただいている企業さまの想いを深く知っていただくことで、子どもの貧困問題への多様な取り組み方・向き合い方について考えるきっかけになれば幸いです。

第1弾はDaigasグループさま、第2弾はおやつカンパニーさまにインタビューを実施し、おてらおやつクラブを支援していただくことになった経緯や支援を通じての期待などについてお聞きしました。

▼インタビュー記事第1弾
Daigasグループさまにインタビュー 〜支えていただいた3年間を振り返って〜

▼インタビュー記事第2弾
おやつカンパニーさまにインタビュー 〜「もったいない」精神の共鳴〜

第3弾である今回は、2019年から現在まで多大な支援をいただいており、先日のクラウドファンディング「ぷらすエイド」では応援のコメントを、「夏のおすそわけ2023」では寄贈のご協力をいただいた石井食品の山寺さん、黒飛さんにおてらおやつクラブ広報職員の深堀と小林がインタビューをしてきました。

アットホームな雰囲気の中で質問させていただきました!


■おてらおやつクラブを支援する理由

小林 ──どのようなきっかけ・理由でおてらおやつクラブを支援いただけることになったのでしょうか?

山寺さん

4年前、当社は「potayu(ぽたーゆ)」という常温のおかゆ製品を開発していたのですが、その際に、アドバイザーの方からおてらおやつクラブの福井さん(現おてらおやつクラブ理事)を紹介していただきました。

当社では食品スーパーや問屋などに製造した商品を出荷していますが、まだ食べられるのに保管期限が過ぎてしまい、販売できずに残ってしまうことで食品ロスが発生しておりました。この食品ロスという課題に対して日々色々な方面から取り組んでおり、国連で掲げているSDGsの実現も目指しています。しかし、福祉施設への寄付や災害のための自社備蓄といった取り組みを行っている中で、私が勤務している京丹波工場では、寄付先や支援先の情報やつながりが少ないことに悩みを抱えていました。こういった経緯のなかでご縁があり、おてらおやつクラブさんの持続可能な慈悲の活動を知ることができました。食品ロス削減への活動を推進するだけでなく、貧困問題解決へのお力添えにもつながると考えたので、商品の寄贈を行わせていただくことになりました。

小林 ──石井食品さんからは定期的にリゾットなどの食糧支援をしていただいていますが、おてらおやつクラブと関わる前と後で何か変化はありましたか?

山寺さん

おてらおやつクラブさんと一緒に活動を進めていく中で、当社の社会貢献活動が少しずつ知られるようになりました。この素晴らしいご縁を頂いた結果、他の支援活動団体や、フードバンクなどからも声をかけていただく機会が増え、支援の輪が広がっています。4年前と比べても食品ロス量の改善が進んでいる実感がありますが、一方で、支援が必要なご家庭がまだまだ存在することも認識しています。

深堀 ──石井食品さんからいただくリゾットなどの加工食品は、ひとり親家庭から毎回とても人気です。特にコロナ禍には、保護者自身がコロナに感染し自宅療養で家事や買い物が思うようにできない際、「石井食品さんの調理の手間が少ない商品が大活躍していた」という感想が多数届いており、石井食品さんの食品が「お母さんたちの助けになっている」ということを実感します。
また、他の活動や団体への支援も広がっているというお話を聞き、この活動への理解や支援の輪が広がっていると感じました。

山寺さん

取り組みを始める前、おてらおやつクラブさんの活動を知るために当社社員でおすそわけを梱包する「発送会」にボランティア参加しました。そこで初めて国内の子どもの貧困率やひとり親家庭で食事に困っている家庭がいること、1家庭ずつ違う悩みがあるなかで丁寧に寄り添っていることなどを知ることができました。
当時は、困っている時に「たすけて」と声をあげたり、周りの人を助けることができる状況を作るためにはどうしたらいいかと考えていましたが、発送会に参加したことで、困っている人にどう寄り添っていくか、より具体的な方法を学べたことが、取り組みを始めた一番大きなきっかけです。

石井食品さんがおてらおやつクラブを
支援するきっかけとなった「potayu(ぽたーゆ)」


■「子ども・子育て」にフォーカスすることになった経緯・想い

小林 ──「私たちの目指す未来」というページを拝読し、「子育てを応援する」・「いまの子どもと未来の子どもの幸せを想う」という理念に感銘を受けました。特に「子ども・子育て」にフォーカスされているのは、どのような経緯や想いがあってのことでしょうか?

山寺さん

当社は2030年に向けて、「農と食卓をつなげて子育てを応援する企業に」という新しいビジョンを掲げています。
創業から70年以上、食品製造の技術や信頼、地域の生産者さんとのネットワークを培ってきました。これらの強みを軸に、農と食卓、そしてヘルスデータをつなげることで、子育てをはじめとする様々なお客さんの生活シーンを支え、食生活やライフスタイルが変化していくなかでどういったサービスができるかを日々考えています。

小林 ──同サイトを拝読した際、「子どもが喜ぶと子育てが楽になり、社会にゆとりが生まれる」という文章を見て、一企業から社会を変えていく流れがとても素敵だと感じました。
石井食品さんは美味しい食品を通じて子どもたちを笑顔にすることができます。おてらおやつクラブとしても食品を提供してくださる石井食品さんのような企業、檀家さん、梱包ボランティアの方々などの想いを家庭に届けることで、子育て世代へ貢献していけるよう今後も活動を続けていきたいと思います。

「おそなえ」として送ってくださる非常食として展開しているリゾット
和風・洋風・イタリアンの3種類がある


■石井食品の社内での反響

小林 ──寄贈を継続していただく中で、社内で何か反響などはありますか?

山寺さん

2019年からおてらおやつクラブさんとご一緒に活動をしていますが、送っていただいているご家庭からの声を通じて、「当社の商品がおてらおやつクラブさんの活動を通じてひとり親世帯の役に立っている」ということを実感しています。
社内でもこういった声を共有しており、特に「リゾットなど常温で長期間保存できる商品は地震や台風などの災害への備え、防災食にも活用できるのでありがたい」といった声に対して、生産の担当者からは「励みになる」との声をもらっています。

深堀 ──おてらおやつクラブでは日常のおすそわけの支援に加えて、大規模な災害(地震、洪水、大雨など)があった際に、被災エリアにお住まいのひとり親家庭へ臨時でおすそわけを届ける災害支援も行っています。
災害によって家屋が損傷したり、電化製品が使えなくなったという家庭も多く、そのような状況にあるご家庭に火を使わずに食べられる食品や、常温で保存できる石井食品さんの商品を同封すると、とても喜ばれます。
こうした食品はお寺への供物としてはあまりあがらないので、おてらおやつクラブではなかなか用意できない現状があります。そのため、長期保存のきくレトルト食品などをご寄贈いただけるのは非常にありがたいです。
日常の生活で美味しく楽しめるだけでなく、療養食や災害時の食事にも利用できたりと、どんな状況のなかでも食べられるというのはひとり親家庭に限らず、誰にとっても安心できることだと思います。

山寺さん

発送会に参加した際に、どのような家庭にどのような品物を詰め合わせて送っているかを見る機会がありました。そこで、当社の商品に加えて、お米やお子さんの人数分のお菓子を同梱している様子を見て、さまざまな気づきが得られました。
お米を入れることから、「お米だけではなくおかずも必要だな」とか、「お米に混ぜて炊ける食品もいいな」といったアイデアが生まれ、当社の商品の提供方法に新たな視点が加わりました。それが、「商品が余っているから提供する」、ではなく、「ご家庭が食事を楽しむために何を提供できるのか」を考えるきっかけになりました。
おてらおやつクラブさんの家庭とのコミュニケーションを大切にし、一つ一つの家庭に寄り添う姿勢から学ぶことができました。

深堀 ──おすそわけを送るお寺さんの中には、パスタとパスタソース、お米とレトルトカレーなど、主食だけでなく、その主食とセットで食べられるものを一緒に入れる方もいます。こうした配慮に対して、ご家庭からは「一緒に使えるものが入っていると嬉しい」という声が寄せられていることを、今お話ししていて思い出しました。

石井食品さんの常温保存ができるミートボールとハンバーグ
常温保存可能なのでいつでも美味しく食べることができる


■おてらおやつクラブへの期待

小林 ──今後、おてらおやつクラブにどのような取り組みを期待されますか?

山寺さん

食品や物資の支援だけでなく、支援活動や子どもの貧困問題を知らない方にも知ってもらうための広報活動をされているところに、当社としても共感しています。
また、石井食品としても食品だけの協力でなく、子どもに喜んでもらう活動を一緒に取り組んでいけたらと思っています。
今日のインタビューに参加しているメンバーも、石井食品のファンを作る活動に日々取り組んでいて、今後、食品協力だけでなく、他に取り組まれていることの一歩先の活動としてさまざまな取り組みでご一緒できたら嬉しいですし、それを機に石井食品のファンになっていただけたらより嬉しいです!

小林 ──昨年は全国各地で巡回展を開催し、おてらおやつクラブの支援活動や子どもの貧困問題について、より多くの人に知っていただくための活動を行いました。その中で、石井食品さんをはじめ当団体に協力してくださっている企業さまを、商品をディスプレイしてご紹介していました。今年も、企業インタビューを実施するなど、今後も色々な形で協力企業の皆さんを紹介できるよう尽力してまいります!


常日頃からの多大なご支援に加えて、今回のインタビューにもご協力いただいた石井食品の皆さまに、改めて感謝申し上げます。

おてらおやつクラブではこれからも、こうした一つ一つのご縁を大切にし、様々な企業さま・個人さまと協力して子どもの貧困問題の解決に取り組んでまいります。

どうか引き続き応援のほどよろしくお願いします。


*困りごとを抱えるご家庭からの「たすけて」の声に十分に応えていくため、継続的に活動を支えてくださるマンスリーサポーターを募集しています。

継続寄付ご案内の専用ページを立ち上げ、私たちが過去に受けとったお母さん・お父さんからのメッセージをもとに編集した、3人のお母さんのエピソードをつづりました。

ぜひ以下URLよりご一読のうえ、お力添えいただけますと幸いです。

https://otera-oyatsu.club/monthly/