お寺のご縁が地域企業と生み出すもの

おてらおやつクラブの高山信雄です。
普段は、愛知県名古屋市の久遠寺副住職として勤めています。おてらおやつクラブの中では主におすそわけ事業統括を担当しています。私の力量では到底およびませんが、メンバーのおかげでなんとかお役を担っています。

私は、2014年11月からおてらおやつクラブの活動に参加し、事務局には2015年3月頃から出入りするようになりました。これまでのメンバーの投稿にあるようにITツールでのリモートワークで活動していますが、月に一度奈良もしくは名古屋で1日利用して会議もしています。以前は奈良はとても遠いと思っていましたが(片道2時間)、今では心理的距離はだいぶ近くなりました。

おすそわけ事業に関わる中で、思いもよらなかった嬉しいおそなえに出会うこともあります。どれも寄付者さまの「子どもたちに笑顔を」との願いが込められているのがありがたいです。その中の一つに「諭吉のからあげ」のおそなえがありました。

▼諭吉のからあげ
https://yukichi-karaage.com/

「諭吉のからあげ」とは、株式会社ユーコーさまの商品。主に東海地方で「からあげ持帰り店」として営業しながら、イベントなどの催しに移動車出店されています。東海地方で大きなお祭りに出かける機会がある方は見かけたこともあるかもしれません。
唐揚げといえば、子どもたちの好きなご飯ランキング(ぐるなび調べ)によると、昭和・平成生まれ共にTOP3に入っています。たしかに、私の子どもたちも唐揚げへの欲求は凄まじいものがあります・・・笑

ほとけさまへのおそなえに唐揚げとは、、、、そう感じる方もお見えかと思います。おそなえとは、今あるいのちに感謝する行為でもあります。いのちに感謝する行為であるにも関わらず殺生によって作り出された唐揚げがおそなえになりうるのか、とお叱りを受けそうです。

けれども、「諭吉のからあげ」がおそなえされたことにもちゃんと理由があります。

実は過去3回、株式会社ユーコーさまからおそなえのご提案をいただいておりました。
ご提案いただいた時は「諭吉のからあげ」さんが出店予定していたイベントが、なにかしらの理由により中止。このようなことがあると、冷凍保存からの調理をしていない「諭吉のからあげ」さんの唐揚げは、廃棄の一途を辿るのみでした。

しかしつながりってすごいです。日頃から地域でお世話になっている知り合いの縁を辿り、私のもとに連絡が入ったのです。

「手塩にかけたからあげを廃棄するには鶏たちのいのちが台無しになってしまう。気持ちはあってもなかなか支援することができなかったけれども、せっかくのご縁なのでこの機会に子どもたちの笑顔の元になってほしい」

そう思いを綴ってくださる株式会社ユーコーさまからたくさんの「諭吉のからあげ」を受け取り、ほとけさまへおそなえし、支援団体へ即日おすそわけしました。本当にアツアツだった「諭吉のからあげ」約300人分を揚げたてのまま愛知県内の数団体へお配りすることができました。

子どもたちはからあげの到着に大喜びです。早速、学習会の子どもたち、ひとり親家庭の子どもたちがパクパク食べていました。サポーターの先生や学生さん方もお腹空かせていたので、一緒にいただきました。本当に、ひとり親家庭に笑顔を届けるご縁を繋いでいただきありがとうございました。深く感謝しております。
(愛知県:母子支援団体)

お届けした支援団体さまからこのような嬉しいお言葉をいただき、私たちも嬉しい限りです。そして何より株式会社ユーコーさまにもこのメッセージをお伝えしたところ、とても喜んでくださいました。

私たちおてらおやつクラブは、全国のお寺の「ある」と社会の「ない」をつなげることで、貧困問題の解消に寄与することを目的に活動しています。社会には食品がなくて困っている家庭があり、そこへお寺にあるおそなえを活用していくのが一つの在り方です。

しかしそれだけではなく、これまでのお寺と地域とのご縁をたどれば、社会の「ある」とお寺の「ない」をつなげることもできるのではないでしょうか。社会には「ムダにしたくない」「何とか役立てたい」「子どもたちの将来のために」と考えてくださっている企業さまはきっと多くあります。そんな尊い気持ちを持ってくださる企業さまの「ある」の受け皿にお寺がなれるはずです。

地域の多種多様な企業さまと地域のお寺が協同することで、地域に根ざした連携が生まれ、「貧困問題解決」にむけて共に歩んでいくことができます。おてらおやつクラブには地域のご縁をつなぎ直す効果もあると考えており、おてらおやつクラブのもう一つの在り方と考えています。

引き続き、皆さまによる活動のお支えを心よりお願い申し上げます。