認定NPO法人おてらおやつクラブはさまざまな企業さまと連携を重ねて「子どもの貧困問題」の解決を目指しており、協力企業さまは私たちの活動継続に欠かせない心強いパートナーです。
そんな私たちの活動を支えてくださっている企業さまに「おてらおやつクラブに協力する想い」についてインタビューをし、シリーズ企画としてお届けします。おてらおやつクラブに日々ご協力いただいている企業さまの想いを深く知っていただくことで、子どもの貧困問題への多様な取り組み方・向き合い方について考えるきっかけになれば幸いです。
第1弾はDaigasグループさま、第2弾はおやつカンパニーさま、そして第3弾は石井食品さまにインタビューを実施し、おてらおやつクラブを支援していただくことになった経緯や支援を通じての期待などについてお聞きしました。
▼インタビュー記事 第1弾
Daigasグループさまにインタビュー 〜支えていただいた3年間を振り返って〜
▼インタビュー記事 第2弾
おやつカンパニーさまにインタビュー 〜「もったいない」精神の共鳴〜
▼インタビュー記事 第3弾
石井食品さまにインタビュー 〜食品を通じて子どもたちを笑顔に〜
第4弾である今回は、2018年から現在までの多大な支援や共同企画に加えて、現在「GO!PEACE!」や「ハッピーキャップスプロジェクト」でもコラボさせていただいているフェリシモの内村さん、松本さんにおてらおやつクラブ理事の野田と広報職員の小林がインタビューをしてきました!また、今回はインタビューが長期に渡ったため、前編・後編に分けて投稿していきます!
▼後編はこちら↓↓
【後編】フェリシモさまにインタビュー 〜ともに社会課題を解決していくために〜
フェリシモさんの事業・社風
小林 ──最初に、フェリシモさんがどのような企業であるのか教えていただけますか?
松本さん
まずフェリシモという社名の意味なんですが「felicity」というラテン語で「至福」+「ssimo」という「最上級」がついていて 、「最大級で最上級のしあわせ」という意味の名前の会社です。
「日々の暮らしのなかでのしあわせを事業化していく」ということをミッションにしていまして、 経営理念が「幸福社会学の確立と実践」なんです。 この理念に「素敵だな」と共感する人達が入ってきます。そこに「ともにしあわせになるしあわせ」というテーマがあって、事業の領域として「事業性・独創性・社会性の同時実現」 を目指しています。
通販、しかもオリジナル商品を企画してカタログやWebで販売するということが主となる事業ですが、別に「通販がしたい」というわけではなくて、「事業を通じてしあわせな社会価値をいかに作っていくか」ということを目指している会社なんです。
加えて、社員のパッションを特に大事にしていて、社員それぞれが「取り組みたい社会課題」であったり、「こういうしあわせを作りたい」・「こういう未来を作りたい」という想いからいろんな事業が生まれています。
取り扱う商品はファッション・雑貨・食品・手芸キット・お花・チョコレートなどいろいろあり「日々の暮らし」がテーマなんです。加えて、例えばおてらおやつクラブさんと共同で貧困問題の解決につながる事業をやっていたり、「犬猫の殺処分をどうやったら減らせるか」ということを考えたりなど、社会性のある事業を行っています。
野田 ──この「ともにしあわせになるしあわせ」はとてもステキな合言葉ですよね。これは創業当初からの理念なんでしょうか?
松本さん
創業当初からずっと一貫して同じ想いが受け継がれています。社員も採用の時には必ずこの話をされていて、それに「いいな」と思う人が受けて入ってきてるので、会社全体としてもかなり浸透していると思っています 。
野田 ──「社員さんのパッションを大事にされている」という話があったじゃないですか。パッションをみんなが出し合えるということや、もっと手前の「それぞれがやりたいことを持っている」ということが「素晴らしいな」と思っているのですが、 社員さんそれぞれがパッションを持つための工夫は会社として行っていたりしますか?
内村さん
うちの会社ってパッションを隠さないというか、「やりたい」という時にはもうやってる人がたくさんいるんです。そしてその事業は「売上を上げる」ということがスタートではないことが多いんです。
「これが世の中良くないよね 」とか「こんな面白いものがあるよ」っていう課題感や興味から事業が始まって、それがいろんな人を巻き込んでいってお客様にも伝わっていく。その結果利益が生まれたり、さらにそのお金を使って社会が良くなっていったりする様を、すごく近いところで見られるんです。
そのため、 「じゃあ私はこれができるかな」という考えが生まれやすい環境なのかなと思いますね。考えと考えの共鳴が起きる瞬間を見ることも時々あって 、「あ、そういう風に次の事業が生まれていくんだ 」と興味深く見ています。
松本さん
そんな社風をもつフェリシモでも、意識していないと上司の言われたことをやって1日が終わる、さらにその繰り返しで一生が終わるということになりかねないんです。 組織の歯車として人生を終えるのは組織にとってもすごい損失だし、本人にとっても「それであなたの人生って良かったの?」という話になってしまうと考えています。
そのため、「本当に自分がやりたい事って何だろう?」と考えることができる制度も作っています。 例えば、部活動という制度があります。これは水曜日の午前中は普段の業務から離れて好きなことができるという仕組みで、常日頃から「なにかやりたいことないの?」、「あなたはどうしたいの?」と聞かれるような環境になってます。
野田 ──自分の内面を深掘りできる環境があるわけですね。
松本さん
そうですね。でももちろん全員が全員やりたいことがあるわけじゃないと思うんです。ただ、もし自分にやりたいことがなくても、例えば「『これをやりたい』って言ってる人の応援をしてあげたい」とか、「私も興味あるから一緒にやってみたい」といった周りとの協力も生まれやすい制度設計・風土になってると感じています。
野田 ──「部活動」という日があるんですね。
野田 ──そこはまさに狙い通り!と言うか、サークルをイメージして作っているんですね。
松本さん
みんなサークルって入るじゃないですか。そういうノリなんでしょうね。
小林 ──フェリシモさんの定期便事業のページを拝見して思ったのですが、今まで通販全体としての物品やサービスって副業や株式投資などのイメージがありました。でも、フェリシモさんの定期便事業のページには、そういった副業とかお金になるものなどはほとんどなくて、趣味の探求や、自分のやりたいことへの情熱を応援してくれるような商品やサービスが多くあって、「それは何でかな?」 と考えていたんです。
先ほど、「『売上を上げたい』がスタートじゃなくて、『やってみたい』、『この社会課題を解決したい』というところがスタートになってる」と聞いて、フェリシモさんのやりたい事とホームページの内容が繋がり、「この話聞けて良かったな」と心から思いました!
松本さん
もちろん会社としては、事業を継続していくために、収益はすごく大事にしています。ただ、「何でもいいから儲かったらいい」というわけじゃない。「社会が少しでも楽しくなったらいいね」とか「社会課題が解決したらいいね」とか「日々の暮らしが便利になったらいいね」とか、そういう想いのこもったものを作りたいと思ってやっています。そのため、 「したい・やりたい」がスタートになっているんです。
そもそも、ただひたすら儲けることにあまりときめかないんです。もしかしたら、ときめく人もいるのかもしれないけどね(笑)
野田 ──少なくともフェリシモさんの社風としては、ときめく人が少ないというわけですね。
代表・松島との出会いからおてらおやつクラブを支援するきっかけが
小林 ──どのようなきっかけで、おてらおやつクラブとのコラボ・支援をしていただくことになったのでしょうか?
内村さん
きっかけは松島さん(現おてらおやつクラブ代表)とお話しした時に衝撃を受けたことです。
当時、私はある商品の相談のためお寺に伺ったんですけど、そこで松島さんから「実はこういうのをやろうと思っている」と出していただいたのが、 A4の紙に「おてらおやつクラブ」と書いたパンフレットみたいなものでした。これを受け取る時に「実はこういう事件があったんだよ」と、あの大阪母子餓死事件を教えていただき、「今の時代に餓死事件があるのか…」と衝撃を受けたんです。
さらに、松島さんが「お坊さんとして活動することはもちろん大切だけども、このお寺というネットワークを使って何かできないかと考えた」ということをおっしゃっていたんです。新しくものや仕組みを作っていくことは難しいことだと思うんですけど、今あるものを使ってどうすれば多くの人を無理なく参加させられるかというデザインが、その時点ですごくしっかりできていた。そこに何よりも衝撃を受けました。
このアイデアが実現すれば、「いろんな人を助けられて、痛ましい事件を未然に防げるんじゃないか」と直感しましたね。しかも、そこには仏様のご縁というすごく温かい存在がバックにあって、「最高じゃないか!」、「何かご一緒できたらいいな」と思ったのが最初のきっかけですね。
野田 ──それは何年のことですかね。2015年?
内村さん
2014年じゃないですかね?
野田 ──じゃあもう本当に僕たちの活動の初期の初期ですね。
内村さん
しばらくして、フェリシモで以前から取り組んでいる基金におてらやつクラブも追加できないかと、当時の基金事務局の担当に話をすると「素晴らしい」と反応があり、基金を始めることになりました。その基金は今も続けてお届けさせていただいてますが、直接ご一緒することになったのはその基金がスタートだった気がします。
野田 ──はい、そうですね。本当にありがとうございます。
今回取材に協力していただいた内村さま。おてらおやつクラブの活動初期からのお付き合いで、さまざまな企画を提案してくださいます。
前編は以上です。お読みいただきありがとうございました。