天理大学の学生がおてらおやつクラブで活動体験をしました

天理大学で社会福祉を専攻する学生が、特定非営利活動法人おてらおやつクラブで活動体験をしました。これは同大学社会福祉専攻の学生が「社会福祉法人 田原本町社会福祉協議会」(以下、田原本社協)における「ソーシャルワーク実習」のプログラムの一環としておてらおやつクラブで活動体験をしたものです。

学生は地域の社会資源を理解するため、全国各地のお寺や支援団体をつなぐおてらおやつクラブでの活動体験を希望してくれました。8月末に2回にわたり、おてらおやつクラブ事務局内(奈良県田原本町)で作業しました。

8月は天理大学ラグビー寮で新型コロナウイルス感染症のクラスターが発生していた時期であり、ラグビー寮と関係のない天理大学の学生が研修受け入れを断られるという事例も報告されていました。

おてらおやつクラブで予定されていた今回の実習も、日程の変更や受け入れの準備についてさまざまに検討が必要でした。その結果、濃厚接触者には該当せず、大学の講義も7月末から休みやリモートだったため、感染リスクの可能性も限りなく低いことを事前に確認しました。当初予定通り、おてらおやつクラブ事務局にて実習生を受け入れることができました。

今回の実習では以下の作業を体験してもらいました。

・おてらおやつクラブ事務局から家庭へ送る「おすそわけ」の梱包作業
・「おすそわけ」に入れるお米や日用品の小分け作業
・「おすそわけ」する食品や菓子類の賞味期限チェック
・「おすそわけ」に同封する手紙にメッセージを手書きで記入
・発送する段ボールの組み立て

実習生が準備してくれた「おすそわけ」は既に家庭へお送りし、「開けてみて感動しました」「沢山あって驚きました!娘も喜んでました!」「沢山の食品、日用品をありがとうございました。こんなに沢山おすそわけしていただけると思ってなかったです。本当に助かります」などの嬉しい声も届いています。

実習生から感想の声を頂きました。

今の世の中自分のことを貧しいと認めることが出来ない人や周りに貧しいと思われるのが恥ずかしいと感じる人が多く、誰かに「助けてほしい」とSOSを出せる人が少ないと感じています。そんな中、顔を見ての支援ではなく荷物が家に届く支援をされているおてらおやつクラブはそのような人の支えになっているのではないかと思いました。生活支援はもちろんのことおかあさんの心の支援にも繋がっていると思いました。
また梱包の作業させて頂いて、荷物を開けて喜ぶ子ども達の顔が思い浮かび、私自身もすごく嬉しくなりました。本当に必要としている全国の頑張っているお母さんにおてらおやつクラブの存在を知ってほしいと思いました。このような貴重な体験をさせて頂きありがとうございました。
(Aさん)

おてらおやつクラブが始まったきっかけが大阪市北区母子餓死事件であると聞いて、今時の日本で餓死が存在することを知って衝撃を受けました。そこに至るまでに、誰もその親子に関わることが出来なかったのかと思うと、とても悔しいと思いました。「貧困=貧乏+孤立」であると聞いて、特に孤立の方が大きくなることで、さらに貧困連鎖につながってしまうのではないかと思いました。
家庭からのメッセージが届くことで、また活動を頑張る源にも思いました。今は一家庭にかけられる時間が少ないことがさみしいですが、手書きのメッセージに少しでも気持ちが救われる人がいるのだと思うと、これからも続いてほしいと思いました。全国にはコンビニよりも多くのお寺があるそうなのでこの活動が全国のお寺に更に広まり、多くの人の心の支えになることを願っています。今回は私たちを受け入れて下さりありがとうございました。
(Bさん)

おてらおやつクラブで実習をさせて頂き、7人に1人が相対的貧困であり、切り詰めた生活をしているのに社会問題としてあまり認知されていないのは、「助けて」と言えない風潮が支援までの壁となっていることを知り、今の日本はとても生きづらい社会であると感じました。顔を合わせなくても支援を受けられるというおてらおやつクラブのシステムはそういった方々の気持ちに寄り添ったとても素晴らしいものだと思います。だからこそ、「助けて」と言いづらい社会は間違っている、どうしようもなくなったら誰かに助けてもらったらいいという風潮を作るために、おてらおやつクラブの活動をもっと沢山の方々に存在を知ってもらいたいと思いました。
実際の業務体験では、箱を開けて笑顔になってもらうということをイメージしながら梱包をしました。おすそわけをした家庭からのメッセージを読み、実際に誰かの助かりとなっていることを実感することができ嬉しい気持ちになりました。本当にありがとうございました。
(Cさん)

また今回、天理大学の学生の取り組みを知った並河健・天理市長からもメッセージを頂きました。

天理大学での集団感染が発生した直後に、すばらしい経験をされた実習生の皆さん、受け入れて下さったおてらおやつクラブの皆様に深く敬意を表します。

今私たちが直面している「コロナ禍」と言われる現象は、単に医学や薬学の問題ではなく、私たち自身の心の問題でもあります。見えないウイルスへの不安から、互いに過度に警戒し合い、傷つけ合うことで、みんなが委縮しています。その悪循環の中で、社会経済活動も停滞しているのが現状です。

今回、天理大学学生に対して、具体的に感染リスクが高いのかを冷静に考える前に、漠然とした不安から、大学全体を乱暴にひとまとめにした不当な扱いも残念ながら発生しました。ですが、それこそ「コロナ禍を自分たちで深めてしまう行為だ」と声を上げたところ、多くの方が共感の輪を広げて下さり、大変ありがたく思っています。

おてらおやつクラブ様は、これまでサポートを受けられるご家庭にとって、過度の負担にならない「程よい距離間」を保ちながら、物資を送るだけでなく、「おすそわけ」=支え合う心をつなぎ、孤立感の解消に努められてきました。実習生の皆さんが指摘されているように、「助けて」とSOSを出せない、いいづらい現代社会。伝統的な地縁血縁が希薄化する中で、今まさに求められている社会モデルとして、「グッドデザイン大賞」を受賞されたのも記憶に新しいところです。

傷つけ合うのではなく、支え合うことが、本当の意味でコロナ禍を「克服」することになると私は確信しています。おてらおやつクラブ様のご活動は、ますます重要性が高まっています。未来を担う世代と共に、さらに「おすそわけ」のすそ野を広げていってくださることを期待し、また市行政も最大限協力させていただくことをお約束します。

令和2年9月3日
天理市長 並河健

新型コロナウイルス感染症の広がりはまだまだ終息の気配がなく、人々の不安も増大するばかりです。特定非営利活動法人おてらおやつクラブは引き続き、コロナ禍においても子どもの貧困問題解決に向けて活動を続けてまいります。

今回のように社会福祉を学ぶ学生や貧困問題に関心のある学生や、企業研修の一環として見学やワークショップなどの受け入れも可能です。また時期を見ての発送会ボランティア募集など、また皆さまのお力添えをお願いすることがあると思います。どうぞその際にはご相談・ご協力のほどよろしくお願いいたします。