2023年度 直接支援の活動を振り返って

23年度の活動の振り返り

認定NPO法人おてらおやつクラブでは、全国のひとり親家庭へ匿名で直接おすそわけを届ける取り組み(直接支援活動)をしています。

2023年度は、家計の負担が増しやすい夏休み・冬休みの時期に、1年以上おすそわけを受けとっていない家庭へ希望を募り、「夏のおすそわけ2023」「冬のおすそわけ2023」を実施し、夏・冬あわせて全国4,184世帯のひとり親家庭へおすそわけを届けることができました。当初は、夏に2,000世帯、冬に2,000世帯を予定していましたが、4,000を上回る世帯へお送りできたのは、多くのお寺さまや皆さまからのご寄付、ご寄贈のおかげです。ご協力ありがとうございました。

▼「夏のおすそわけ2023」のご報告はこちら

▼「冬のおすそわけ2023」のご報告はこちら

現在、おてらおやつクラブにつながるひとり親家庭は、コロナ禍を経て今もなお増え続け、昨年度は1万世帯を超えました。

こうした状況は、おてらおやつクラブの取り組みが少しずつ社会に広がってきたと同時に、依然としてひとり親家庭が厳しい状況下に置かれていることを表しているのだと考えています。

おすそわけを受け取ったご家庭からは「近所に支援団体がない」「地域の人には知られたくない」などの声が寄せられ、支援とつながる難しさがうかがえます。
おてらおやつクラブでは、LINEを介した「匿名」のおすそわけから、支援につながっていく体験、顔の見えない誰かに助けてもらえた実感を持ってもらえたらと考えています。どこの誰なのかは分からないけれど、でも確かに助けてくれる人がいたことを感じてほしいと願っています。

この直接支援活動は、2020年からのコロナ禍により支援団体や行政の支援制度につながれないご家庭が急増したため、緊急的な支えとして実施してきた背景があります。

22年度は、すべての「たすけて」の声に応えたいと思いつつも、支援要請の数が急増し一部のご家庭の申し込み(おすそわけを受け取ったばかりのご家庭など)を断らざるを得ない状況がありました。
支援申し込みの窓口を常時開放していると支援要請が止むことなく、すべての希望に応えることができない。そこで、常時開放の窓口から期間限定の窓口に切り替え、その期間の支援要請にできるだけ応えようと考えました。

そのために、配送費の財源確保や、おすそわけを最安値で配送できるようシステムの整備を工夫するなど、できるだけコストを抑えながら1世帯でも多くお送りできるよう支援体制を整え、「断らない支援」を目指しました。

そうして迎えた「夏のおすそわけ2023」。おてらおやつクラブにつながる全国3,029世帯から申し込みがありました。しかし、物資量や配送費の面から、各配送エリアの地域ごとに抽選を行い2,000世帯に絞り、1,029世帯にはお送りすることができませんでした

もう一度支援体制を見直し、箱の重量の調整などを全国のお寺さまへお願いしながら、より配送費を抑えながらおすそわけをお送りできる方法を模索しました。

「冬のおすそわけ2023」では、夏にお断りしてしまったご家庭へ優先的に案内し、2,184世帯からのお申し込みがありました。定員は2,000世帯とし抽選を行う予定でしたが、これまで配送費を抑え節約できた予算を使うことで、抽選せずに2,184世帯へお送りすることができました。すべての家庭の声に応えることができ、22年度・23年度夏の課題だった「断らない支援」を実現することができたのです。

調査結果から見えてきた今後の課題

おてらおやつクラブでは毎年、おすそわけを受け取ったひとり親家庭を対象に生活状況などをお聞きする調査を実施しています。

▼「2023年12月 直接支援家庭向け調査のご報告」はこちら
https://otera-oyatsu.club/2024/02/research_for_families6/

23年度は「断らない支援」の実現に向け、様々な工夫を行いましたが、調査結果の中で事務局が重く受け止めた課題があります。
それは、おてらおやつクラブが初期成果に掲げる「困った時に助けを求められる」指標のスコアが大幅に低下したことです。

「2023年12月 直接支援家庭向け調査のご報告」より一部抜粋

23年度は、22年度よりも多くの家庭へおすそわけを届けられましたが、申し込み窓口を夏休み・冬休みの期間に限定した結果、困ったタイミングで申し込んで受け取れる仕組みではなくなったことが、今回のスコア低下に影響したと考えています。

こうした課題も解決できるよう、24年度も支援体制や活動内容を見直しながら支援活動を継続していきます。

私たちは、ひとり親家庭が「困った時に助けを求められる」と感じる社会とは、おてらおやつクラブのおすそわけだけでなく、さまざまな支援団体のサポートや行政の支援制度を、必要とした時に利用できる社会だと思っています。
その実現に向け、日頃から地域で支援活動を行う団体さまにもお力添えいただきながら、ご家庭が必要な支援や団体につなげるような仕組みづくりに尽力してまいります。

子どもたちにとって日頃から相談できる相手の選択肢が複数あることは、いざという時に助けを求めたり、頼ったりできる人や場所が社会に存在することを知るきっかけになるはず。

「たよってうれしい、たよられてうれしい。」社会の実現に向けて、引き続きおてらおやつクラブを応援ください。