お寺からの「おすそわけ」に同封いただいている「カバーレター」は、「おすそわけ送付状」に呼称を変更しました。
事務局の高山です。
突然ですが皆さん、「おてらおやつクラブ」のカバーレターってご存知ですか?
私たち「おてらおやつクラブ」は、お寺への「おそなえ」を、仏さまからの「おさがり」として頂戴し、ご縁ある皆さまに「おすそわけ」しています。カバーレターとは、お寺さまが「おさがり」を頂戴し、団体さまやお母さまたちに「おすそわけ」の際、おやつと一緒に同梱する一枚の送り状です。
「おすそわけ」をお送りいただくお寺さま、ちゃんとカバーレター はおやつと一緒に同梱いただいていますか?
「おすそわけ」を受け取っていただく団体さまやお母さま、カバーレター に目を通していただいていますか?
実はこのただの送り状一枚が、活動を続ける上でとても大切なものなのです。今回は、このカバーレターに込められた大切な想いをお伝えいたします。
前述の通り、カバーレターはお寺さまからの「おすそわけ」の際、段ボール箱に同梱していただく一枚の送り状です。おやつと一緒に送ることによって、お寺さまはメッセージを考えて書きますし、団体さんやお母さんはお寺さまの気持ちを感じることができます。私たち事務局は、お寺さまにカバーレターの記載と同梱、そして発送報告という作業をお願いしています。各地で開く説明会の際にも、必ずお伝えするのが「発送報告と受取報告のお願い」です。
発送報告とは、「おすそわけ」を発送したら「事務局に連絡をください」というもの。以前はメールで発送報告を受け付けておりましたが、現在はスマホやパソコンから入力できる「おすそわけ発送報告フォーム」があり、入力が大変便利になりました。
https://otera-oyatsu.club/temple/send/
「おすそわけ発送報告フォーム」には、
- 発送寺院・氏名
- メールアドレス
- 発送日
- 発送先
- ダンボール箱数
- 「おすそわけ」の内容
- 発送エピソード
- カバーレターの同梱の確認
- 写真添付
に答えていただくようにしています。お気付きのように、ここでカバーレターを同梱したかどうかを確認しています。事務局として、忘れてほしくない項目なのです。
私たち事務局は、お寺さまにいつ、どれくらい「おすそわけ」を送って欲しいとお願いすることはありません。お寺さまがいつ、どれくらいのペースで「おすそわけ」してくださっているか、を報告していただくことで、お寺さま一人ひとりの活動の状況を知ることができ、適切な支援体制の参考になります。
この発送報告を忘れてしまうと、残念ながら団体さまやお母さんがいつ、どれくらい「おすそわけ」を受け取っているかを知ることができません。その場合、適切な支援体制を維持できなくなります。
もう一つ、受取報告とは、おすそわけを受け取ったら「事務局にご連絡ください」というもの。
以下の「受取報告フォーム」から入力可能で、カバーレターに記載のQRコードからアクセスしていただけます。その場でスマホを手に取りサクサクと入力も可能です。以前わざわざメールをお送りいただいていた時に比べるとスムーズに報告いただけるようになりました。
https://otera-oyatsu.club/support/receive/
- 受け取り者名(支援団体/家庭)
- 受け取り者メールアドレス
- 受け取り日
- 発送元の寺院名・氏名
- どのような場面で利用しますか?
- 近況報告あればお知らせください
- カバーレターは同封されていましたか?
この受取報告に関してもカバーレター に「必ずお知らせください」と明記しております。この受取報告を忘れてしまうと、どれくらい団体さまやお母さんに「おすそわけ」が届いているかを知ることができません。「おすそわけ」が無事届いているのか、有効に活用されているのか把握できず、最悪の場合は「おすそわけ」を中止せざるをえなくなります。ですから受取報告の内容についても「カバーレター同封の有無」をお聞きしています。
発送報告と受取報告が「おてらおやつクラブ」の支援活動をする上でいかに大切か、ご理解いただけましたでしょうか? 事務局が発送報告と受取報告を受けることで、どのお寺さまにどの団体へ「おすそわけ」をお送りいただくか、そのマッチングを行うための判断材料になったり、何らかの事情により「おすそわけ」が届かない状況があった時に原因発見のための情報となったりと、活動を円滑に進められるようになってきました。
このようにカバーレターには支援状況を把握するための役割がありますが、実はもっと大切な役割があります。
それは、「ぬくもりを伝える」ということ。
カバーレターには、最後に一言メッセージを添える欄があります。
発送するお寺さまは、お母さんや子どもたちの様子に思いを馳せながらメッセージを考えます。それが貧困問題を考えるきっかけになります。そしてお寺さまの直筆で書かれたメッセージによって、子どもたちに「見守っている人がいる」という「ぬくもり」が伝わる、と考えています。
お寺さまが記入したカバーレターを拝見すると、ひと言ではなく欄いっぱいにメッセージを書いてくださるお寺さまも珍しくありません。子どもたちが喜ぶ折り紙や可愛いシールでデコレーションしたり、さらには得意な消しゴムハンコを押したり、とお寺さまが想う「ぬくもり」の伝え方は様々です。
おてらおやつクラブの支援活動でお寺さまに担ってもらうのは、直接お母さんを支援するのではなく、団体さまとお母さんのつながりを深めていただくよう支える役割をお願いしています。このお寺の役割を後方支援と位置づけ、直接顔は見えないけれども、顔がみえない後方支援だからこそ、手書きに込められるメッセージを大切にしています。おやつを受け取り、カバーレターを読んだ時、受け取った方々が笑顔になることを想像しながら、おすそわけの準備をする。それこそ、今苦しみを感じている人たちに寄り添いながら、問題解決に向けて一緒に考えていくことになるのではないでしょうか。
発送報告の重要性はともかく、「受取報告はそれほど重要ではないのでは?」とお考えの方もいるかもしれません。わざわざお礼を要求しているように感じられますが、お礼をもらうことが目的ではなく、「事務局に近況報告や相談事を気軽に話してもらうきっかけにしたい」と私たちは考えています。もし仮にお礼が欲しいのであれば、事務局への連絡ではなく、発送元のお寺さまへ受取報告をしてくださいとご案内するはずです。けれどもそうしない理由は、事務局が団体さまやお母さんたちに寄り添い共に歩む覚悟があるからです。お寺さまたちが普段から、仏さまから賜る「どこかで見守ってくれている」という安心感と同じように、私たちも団体さまやお母さんを見守っていく。仏さまと私たちの関係のように、たとえ顔を合わさずとも心を通わせていく。それが、私たちが僧侶として社会と向き合い、社会の中で慈悲を実践していくことに他ならないからです。
カバーレター を同梱することで、お寺さまには発送報告とカバーレター記載という作業を増やしてしまいますし、団体さまやお母さんにも忙しい時間の合間をぬっての受取報告をお願いすることとなってしまいます。
けれども、そこには「ぬくもりを伝える」という大切な役割が存在します。お寺さまの「ぬくもり」を伝えることで、「おすそわけ」と共にほんの少しの心の余裕が生まれるのではないでしょうか。そのお声のいくつかはご登録いただいたお寺さまや団体さまに毎月メールでお届けしている「おてらおやつクラブ通信」に掲載しています。その声に耳を傾けることで互いに理解し合い、より良い未来を作っていくことが、この活動に関わるすべての人に必要ではないでしょうか。
お寺さま、おやつと一緒にカバーレター、そして発送報告をお忘れなくお願いいたします。団体さま、ご面倒でも受取報告をお願いいたします。そしてまだ登録を悩んでいるお寺さま、団体さまへ。おてらおやつクラブとは「おすそわけ」という名の物資支援ではありません。顔が見えずと「ぬくもり」のこころが通い合う、お互いのこころが温まる活動です。事務局一同、みなさまのご参加を心よりお待ちしております。