「子どもの貧困対策2.0に向けて 法成立5周年・あすのば設立3周年のつどい」参加レポート


報告者 : 岡本 輝起(おてらおやつクラブチャレンジ1期生

日時 : 2018年6月16日(土) 13:00〜16:00

場所 : 東京都 渋谷区 代々木 国立オリンピック記念青少年総合センター

イベント概要 : Facebookイベントページより引用

イベント内容 :
①子どもの貧困対策法成立5周年のあゆみ
②あすのば設立から3年の活動と今後の計画の報告
③「子どもの生活と声1500人アンケート」最終報告とディスカッション
④あすのば子ども委員会からの報告と提言
⑤ワークショップ(今後に向けた政策提言を8人グループでディスカッション)

目的 : 「社会経験や経済力が乏しい10代の若者が、それでも貧困問題の解決に関わる意義とその方法」を広く提示できるようにするため。「あすのば子ども委員会」など、子ども自身が行動することに重点を置いているあすのばさんからヒントを得ようと考えました。

目次

1. 自己紹介

2. 「10代で何も知らない僕が、貧困問題に関わってもいいんですか」
あすのばから学ぼうとしたきっかけ・誰に一番読んでもらいたいか

3. 「子どもの貧困の解決は、子どもが主役である」担い手の徹底を肌で感じる

4. 「大人が子どもの出来を見て成績をつけるように、大人も子どもから成績をつけられなければならない。その一つが、このアンケート」圧倒的な調査力と貧困の実態

5. 「子どもの意見が大人の意見に比べてしょぼいだなんて、そんなことありません。
あなたたちの声は、大人が絶対に持てない、新しい視点を持っているんです。だから、声をあげ続けて、叫び続けて。」多様な声が交差する場所


1. 自己紹介

はじめまして、岡本輝起と申します。今年(2018年)の3月に奈良県立畝傍高校を卒業し、大学に行かず就職もせず、自分にとって本当に大切なものを探しながら生きていきたいと思っている18歳の青年です。
初めに、なぜ僕がおてらおやつクラブ事務局にいて、このレポートを書いているかを明らかにするため、「僕とSDGs」というテーマで自己紹介をしたいと思います。

「SDGs」という言葉を聞いたことはありますか?
「SDGs」とは、僕の解釈では「17つの宿題」です。
「これらをちゃんとやれば、人類と地球がとても長いあいだ、幸せになれるだろう」と言えるような宿題をざっくりとまとめたリストのことだと考えています。

テレビを見ていると、暗くて悲惨なニュースが流れることがあります。目をそらしたくなる時もあります。そんな時に「これはいけない。世界から貧困や暴力はなくなるべきだ。」と思うあなた。
「でも私なんかに何ができるのだろう」と悩んでしまうあなた。そんなあなた達に向かって「君に何ができるか、ここに書いておきますね。」と出された17つの宿題、それが「SDGs」だと僕は考えています。

僕は、酷いニュースがもう流れないように、宿題を少しやってみることにしました。

問(1)貧困をなくそう

「……わからない。問題の意味はわかるけど、解き方がぜんぜんわからない。ちょっと飛ばして次の問題に行こう……。」

問(2)飢餓をゼロに

「……これもぜんぜんわからない。最後の方から解いてみよう。」

問(17)パートナーシップで目標を達成しよう

「よし、これなら僕にもできるなあ。僕だけでやるんじゃなくて、他の人と協力しよう。」
親友のAくんに電話して、一緒に宿題をやることにしました。

問(16)平和と公正をすべての人に

「それにしても、『どうやってやるか』がぜんぜんわからない……」

宿題に全く手をつけられないまま、とりあえず学校で、人権について考える部活動に一人で所属していました。何のヒントも得られないまま、その部活の顧問の先生から1枚のパンフレットをいただきました。それは、「おてらおやつクラブ」というNPO法人の活動についてのパンフレットでした。高校2年生の夏のことでした。

「よしわかった。僕は自分が毎日食べるおやつを我慢して、ここに寄付すればいいのか。」

…でも結局、どうすればいいのかわかりませんでした。そもそも毎日おやつを我慢する覚悟なんてなかった。しかもそのおやつは僕が働いたお金で買ったものではなく、お母さんが買ってくれたものでした。そんな僕がこの活動に関わる資格なんてない。そう思って僕の正義感は宙に舞い、ふわふわとどこかへ飛んでいって、いつの間にか忘れていました。一時的に熱くなったと思えば、すぐに冷める。いつもの僕と変わらない。加えて、高校2年生の多感な時期で自分の問題で精一杯なのに、その上に他の人のことを考えている余裕はありませんでした。

それから1年後、とあるきっかけで「おてらおやつクラブ」の松島靖朗代表と1対1で、2時間ほどお話する機会をいただきました。

「まだ社会も何も知らない僕に、何かできることはありますか。」

僕がこう質問すると、松島代表は「いっぱいあります」と、いくつかの「宿題」を与えてくれました。新しい「宿題」を持って帰り、一生懸命取り組みました。
すると、気がつけば「おてらおやつクラブ」の事務局の一員として、定例ミーティングに参加するようになりました。ようやく、SDGsの第1問目である「貧困をなくそう」に取り組めるようになったのです。そして、今に繋がります。

2. 「10代で何も知らない僕が、貧困問題に関わってもいいんですか」
あすのばから学ぼうとしたきっかけ・誰に一番読んでもらいたいか

SDGsの第1問目に取り組むことができるようになったあとでも、僕は常に悩んでいました。
社会にでたことがなくて、支援できるようなお金も持っていない。それなのに、大人の人に混じって貧困問題の解決に取り組んでよいのか。子どもが、他の人の深刻な問題に踏み込んでもよいのか。「何も持たない者」が、支援をする立場に立って何かできることはあるのか。

「何かしよう」と思って作業のお手伝いや新しいプロジェクトを始め、「何かできた」と思う瞬間もあるけど、無力に思えるときもある。そんなときに「大人にならないといけないのか…」と考えてしまいます。

そうじゃなくて、「子どもにしかできないこと」「大人が持っていないもの」を提供できるのではないか。子どもであることがメリットになるのではないか。

そう信じたい。ですがうまく言葉にできませんでした。そこでこのつどいを紹介され、参加しました。
おてらおやつクラブのお手伝いを始めてから半年ほど経ったときでした。

「貧困問題に心を痛め、何かしたい。でも自分に何ができるんだろう。自分が相応しいのかもわからない。」

そう考える10代の「子ども」の方々、そしてそのような若者の力を借りたいと考えている団体様に読んでほしくて、このレポートを書きました。

3. 「子どもの貧困の解決は、子どもが主役である」担い手の徹底を肌で感じる

つどいの会場に到着し、初めに設立3周年記念のケーキ入刀を見ました。
大勢の前で緊張して、照れ笑いをしながらケーキを切る「あすのば子ども委員会」の皆さん。見守るオーディエンス。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続いて、①子どもの貧困対策法成立5周年のあゆみ

の説明が始まり、大きな模造紙と共に子ども委員会の皆さんがスピーチをしました。僕は

「えっ、これも子ども委員会がするの!?」

と驚きました。「5周年のあゆみ」ともなると、大人の方々がでてきて大人による説明が始まるのかと思い込んでいました。
その後のスピーチでも、少し落ち着いた感じで話をするのは学生理事の方や今は社会人だけどかつて学生スタッフだった方など、あくまで若い人たちがオーディエンスの前に立って話を続けました。
そこに大人がでてくる場面はありませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は大人か子どもかで言うと、まだ子どもに入ると思っています。
だからこそ、子どもと年が近い世代の方々が子どもの貧困に関わる話をしているのはとても聞きやすく、頭に入りやすかったです。
このことから、あすのばさんという団体は
「子どもの貧困の解決は、子どもが主役である」ということを徹底しているのだと感じました。

この時点で、先ほど書いた僕の悩みはほとんど解決したと思っています。

「ああ、僕がやっていいんだ。主役は子どもや若者なんだ。大人は支えてくれる。」

と、安心するとともに、もっとアクティブに動こう!と気合が入った瞬間でした。続いて、

③あすのば子ども委員会からの報告と提言

が始まりました。子ども委員会には、子どもの貧困の当事者である高校生もメンバーに入っています。
当事者の高校生は、「あすのば入学・新生活応援給付金」を給付されて助かった、やりたかった部活に入ることができた、と自らの体験談を私たちに聞かせてくれました。
その生の声を聞いて、次にマイクをバトンタッチされた女の子が、涙ながらに話していた姿、そして言葉が忘れられません。

「苦しんでいる人たちがこんなに多くいて、だから貧困から子どもを守る法律ができたのに、
なのになんで、5年も経っているのになぜ、まだこんなにも苦しんでいる人たちがたくさんいるなんて…」

4. 「大人が子どもの出来を見て成績をつけるように、大人も子どもから成績をつけられなければならない。その一つが、このアンケート」圧倒的な調査力と貧困の実態

ついに大人の方々(学生理事を含む)が登壇し、「子どもの生活と声1500人アンケート」についてのディスカッションが始まりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

登壇者一人一人の自己紹介の場面で、印象的な言葉がありました。

「大人が子どもの出来を見て成績をつけるように、大人も子どもから成績をつけられなければならない。その一つが、このアンケート結果」

つい先ほどの子ども委員会の女の子の涙ながらの言葉。その涙は、決して大人が良い成績をつけられてはいないことを示す証拠だと考えます。

50ページからなるぶ厚い紙の束に、ぎっしりと書かれたデータと声から見える貧困の実態。

貧困問題に関わる人の全員が読み、行動に反映しなければならないと感じ、大切に持ち帰りました。

5. 「子どもの意見が大人の意見に比べてしょぼいだなんて、そんなことありません。あなたたちの声は、大人が絶対に持てない、新しい視点を持っているんです。だから、声をあげ続けて、叫び続けて。」多様な声が交差する場所

話を聞く行程がすべて終わり、次はオーディエンスだった人々が8人グループにわかれて、ディスカッションをしました。

1)「いまなにが問題なのか」
困っていること、理想とのギャップなどをあげ、「貧」と「困」に分類する。
2)「実際に政策として提案するなら」

この2つを、ブレインストーミングしながら付箋に書き、大きな模造紙の上に貼り付けて議論しました。

僕を含めた8人(出身地)がメンバーでした。
・僕(奈良)
・大学4年生の学生理事(奈良)
・子ども委員会の高校生(青森)
・あすのばの事務員(滋賀)
・退職し、貧困問題解決の活動を始めようとしている人(東京)
・東京都庁の統計局の職員(東京)
・数学の学習支援活動をしている大学生(静岡)
・ACEというNGOの職員(東京)

色んな土地の、色んな職業の方々とのお話は白熱し、私たちのグループはずっと立ちっぱなしでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(これから実行するアイデアの付箋には☆マークがついています。
縦軸は上の方が具体的、下の方が抽象的な話で、横軸は右が「貧」左が「困」です。
右下の紫の紙は、終わる直前に焦って貼ったものなので、分類にあてはまりません。)

※でてきたアイデア

・高校生の声を聞く会を開く。

・BBQなどの楽しいイベントを、支援者と被支援者を参加対象として開く。

・「何かしたい」と考える若者がすぐに、気軽に参加できる作業の日を増やす。

・支援者/被支援者への広報活動において、若者に焦点を当てて独自に動く。

1時間未満と、時間が少なかったことが唯一残念でした。もっと話したかったですが、これから奈良でもこのような場所を開くモチベーションに変わる「良い残念」でした。

話し合いが終わったあとに、あまり自分から意見を言えなかった(大人にふられて意見を言ったことは数回ある)高校生が、

「大人の人の意見はすごすぎて、私の意見なんて…」のような意味の言葉をこぼしました。

僕たちは勝手に白熱して、主役である高校生を窮屈にさせてしまっていたのだと、反省しました。その上で、ある人が

「子どもの意見が大人の意見に比べてしょぼいだなんて、そんなことありません。
あなたたちの声は、大人が絶対に持てない、新しい視点を持っているんです。だから、声をあげ続けて、叫び続けて。」

と仰いました。

奈良でこのような場を開くときは、大人1 : 子ども4(規模が大きければ10でもいい)くらいの比率で開こうと思いました。

 


 

まとめ(ひとまずの結論)

声をあげること。おかしいと思ったことを、叫び続けること。何も持っていなくても、それだけで十分だ。
その声を拾ってくれる大人に出会うことができるルートは、私たち子どもだけが知っている。
そのルートを明確にして、あとは声をあげ続けよう。
子どもが声をあげやすくするためには、一緒に何かをする機会を多くつくって、接点を広くしておく。
大人か子どもかわからない年代にいる僕(18歳)のような人は、その接点を広げる活動に向いているのではないだろうか。

このことを受けて僕が具体的にできることをまとめました。

・僕の情報やできることをもっと公開する。

・お寺の本堂を、夜間の自習室として開放する。その空間で、普段言えない本音などに耳を傾ける。(現在実施中)

・上記のことをして、関わるようになった子どもの声を聞いてまとめる。子どもと大人の架け橋になりたい。

・「おかしいと思ったことは大きな声で言っていい。」を意識して下の世代に伝える。

・自分も、おかしいと思ったことは声をあげ続ける。

あすのばさんの姿勢を学ぶと共に、アイデアがいくつかでてきて、得ることがたくさんあるつどいでした。

お知らせ

7/28(土)に、あすのばさん主催のイベント「子どもの貧困対策 全国47都道府県キャラバンin奈良」のパネルディスカッションにて岡本が登壇いたします。詳細はFacebookイベントページをご覧ください。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。