認定NPO法人おてらおやつクラブは2022年8月~9月の期間、NPO法人ドットジェイピーさまからご紹介いただいたインターン生を受け入れていました。
今回のインターン生は京都産業大学一回生の濱中海斗(はまなか・かいと)さんと、立命館大学一回生の村田日和(むらた・ひより)さんのお二人に来ていただきました。
インターンを通じて得た学びや気付き、それを踏まえての今後の展望などについてお二人から感想を頂きました。
本記事では、京都産業大学・濱中さんからのレポートをご紹介しますので、ぜひご一読ください。
—▼以下、濱中さんからのレポート—
皆さんはじめまして。
おてらおやつクラブにインターン生として約2か月間関わらせていただきました濱中海斗です。今回は、インターン活動を通しての感想や今後の自分について書きます。少々、長文になっていますが最後まで読んでいただけると幸いです。
■インターン活動に参加したきっかけ
僕がインターン活動に参加したきっかけは「今の自分から少しでも変わりたい」という思いからでした。僕は、社交的で、沢山の人と関わることが大好きな人間です。将来は会社の営業部や企画部に所属したいと考えています。
しかし、そんな僕は高校生まで大勢の人の前ではどうしても殻にこもることがあり本来の自分の姿を隠すことが多々ありました。そのため、なかなか本音で語れる友達が少なかったです。
大学進学を決定した4月、ある友人から「自分に正直に生きなよ。」と言われました。その人は、僕が学校では本来の自分を出していないことに気づいており、そこに違和感を感じていたようです。そのため、「濱中くんは私にも本音で話していないのかな?」と不安になったと言ってくれました。僕自身はその友達には素の自分で接することができていると感じていました。学校外でも関わりが深い友達だっただけにかなりショックでした。
そこで、1番自分のしたいことができる大学生のうちに全力でなにかに取り組もうと思いました。そして、この大学の4年間は「自分の気持ちに正直に生きよう」と思い、大学入学当初から興味があったインターンに参加しました。
■おてらおやつクラブでの活動
インターン先であるおてらおやつクラブで活動する毎日は新鮮で幸せな日々でした。活動初日はとても緊張していましたが職員さんの方々は温かく迎えてくださり緊張がすぐにとけたのを覚えています。
そもそも、僕がおてらおやつクラブをインターン先に選んだ理由は自身の境遇からでした。僕は母子家庭育ちです。そのため、おてらおやつクラブの活動に携わる際には「母子家庭育ちの自分だからできることがあるのではないか」と考えていました。そして、活動に参加していく中で「子どもの貧困」について深く知ることになりました。
実際のひとり親家庭からの声を初めて見たときは自分が思っていた以上に現状は深刻でした。「子どものご飯のために自分の食費を削っています。」という声や「子どもにお菓子を買える余裕がありません。」という声があり驚きました。それと同時に「自分ができることはなんだろうか」と考えるようになりました。そこで、思いついたのが僕と同世代の人に今の子どもの貧困の現状を知ってもらうことでした。そして、若者(大学生)を対象にした「おてらおやつクラブ説明会」を行うことにしました。
■説明会開催までの苦労
説明会を実施するにあたりに今回取り組んだ内容は以下の通りです。
・企画書作成
・台本づくり
・パワーポイント資料作成
・会場準備
・リハーサル
今回は説明会の企画から実施まで全ての工程をもう1人のインターン生の村田日和さんと行いました。最初に提出した企画書は至らない点がいくつもありました。職員さんからのコメントを見ても自分の企画書が穴だらけだったことを実感しました。
そこで、様々なデータを集めたり、説明会の構成を練り直しました。その結果、GOサインが出たのですがそこからさらなる苦難の連続でした。説明会の台本を作る際には「どうすればおてらおやつクラブのことを知ってもらえるのか?」、「自分と同世代の若者が『子どもの貧困』について身近に感じるにはどう説明すればいいのか?」といったことを考えているといつのまにか1日が終わっていることも多々ありました。
パワーポイント資料を作成する際には、「説明の内容をより上手に分かりやすく相手に伝えるにはどうすればよいのか?」と考え続けました。寝る間も惜しんで考え抜く日もあり、今思えば少々無理していたなと感じます笑
しかし、悩んでいる時には職員さんやもう1人のインターン生の村田さんがいました。説明会についての相談、広報活動についての悩みと多くの方々が支えてくれたおかげで途中で諦めることなく最後まで取り組むことができました。本当に感謝しかありません。
説明会の練習では職員さんに協力してもらい、さらには、母も練習に付き合ってくれました。説明会実施の1週間前には大学の授業が開始し、なかなか説明会の準備に多くの時間をさけることもできなくなり結局、説明会本番まで緊張して不安な毎日を過ごしていました。
それでも、説明会本番ではリラックスし自分の言葉で参加者の方々に自分の思いを伝えられたと感じます。多くの方々の支えがあったからこそ説明会を実施できました。
■おてらおやつクラブに携わって変わったこと
おてらおやつクラブに約2か月間携わって自身にある変化がありました。それは、「素の自分を好きになれた」ことです。冒頭でも述べましたが今回、インターンに参加した目的は「今の自分から少しでも変わること」でした。どうしても大勢の前では素の自分を出せない、そんな現状から抜け出したくて参加したインターン。
今振り返ってみるとインターンを通して素の自分が好きになれた一番の要因はおてらおやつクラブが家族のような安心感を僕に与えてくれたことです。最初は緊張しましたが、徐々に自分から発言するようになり職員さんともコミュニケーションを取れるようになりました。本来の自分の姿を隠すことで過ごしてきた僕にとってこの2か月間は驚きと感動で満ちていたと感じています。「今の自分から少しでも変わりたい」と思い参加したインターン、気がつけば「変える必要な箇所はない、素の自分が一番輝いている!」と感じ自分自身のことが好きになることが出来ました。
参加する前と後では大きく異なる点がありました。それは、初対面の人や多くの人の前でも本来の自分を出せるようになったことです。素の自分を出せるようになったきっかけは正直分かりません。しかし、おてらおやつクラブの職員さんや村田さんの優しさや支えがあったからこそ、ありのままの自分を肯定することができたのかなと思います。
説明会の準備・企画は苦難の連続でしたが、その中で職員さんや村田さん、学生ボランティアの方々と関わっていく中で自分自身の枷が外れていくような感じがしました。現在は、大学の授業でのペアワークや席が隣になった人に素の自分を出して話せるようになりました。入学当初、殻に閉じこもり仮面を被って過ごしていた自分と比べるとかなりの進歩だと感じてます!
■インターン中の反省点
今回のインターン活動を通しての反省点は「人を動かすことの大変さ」を十分理解できていなかったことです。説明会企画書作成の段階から説明会実施にいたるまで人を動かすのは簡単でないことを実感しました。人を動かすと一口に言っても、資料チェックを職員さんにお願いしたり、参加者を獲得するための広報活動をしたりなど様々です。しかし、僕ら2人は必死に取り組んでも、その必死さは外部の方々には伝わりづらく共感が得られにくいことも学び…。中々参加者が集まらない時は「こんなに頑張ってるのにどうしてだろう」と落ち込みました笑
そもそも、説明会を実施するにはどういう目的で、その結果なにが起こるのかを分かるようにしないと企画書作成も進みません。また、説明会の参加者を募集するにしても「説明会に来て得られるメリット」を提示しないと参加する側も行こうと思ってくれません。ましてや、言葉で伝えることは表現一つで誤解を生むこともあります。だからこそ、説明会の告知文を作成するうえでも悩みました。
その中で僕は「この人に僕のプレゼンを聴いて欲しい」と思う友達に声をかけました。結果的には目標人数には届きませんでしたが、参加してくれた友達からは「参加してよかった。」と言って貰えました。その言葉を聴いてここまで説明会の準備をしてきて良かったと感じ、自然に涙が出てきました。
■将来の自分
最後に今後の自分について話します。今後、僕が取り組むことは以下の2点です。
・ボランティア参加
・お母さんへの恩返し
1つ目はボランティア参加です。今後はおてらおやつクラブはもちろんのことですが他のボランティア活動にも参加していきたいと思います。
2つ目はお母さんへの恩返しです。18年間、ひとりでここまで立派に僕を育ててくれたお母さん、深い愛情を与えてくれたお母さん。いつの間にか、お母さんが「世界で一番尊敬する存在」になっていました。お母さんのためにも今自分ができることに全力を注ぎたいと思います。
また、素の自分を出して自分らしく生きようと思います。
最後に、今後の人生においておてらおやつクラブで過ごした2か月間は一生忘れることがないと思います。出会いに感謝です。本当にありがとうございました。