「おてらおやつクラブ」の事務局スタッフ(正職員)

正職員の募集は終了しました。


特定非営利活動法人おてらおやつクラブ(以下、NPO法人おてらおやつクラブ)は、子どもの貧困問題の啓発および行政や企業・団体との連携を進めていくために、正職員として事務局スタッフを募集いたします。勤務地は、奈良・田原本町の安養寺です。

●おてらおやつクラブとは?

おてらおやつクラブは、お寺のご本尊への「おそなえ」を「おさがり」としていただき、子どもやひとり親家庭などをサポートする支援団体の協力のもと、経済的に困難な状況にあるご家庭に「おすそわけ」する活動です。活動の趣旨に賛同する全国のお寺と支援団体をつなげて、食品や日用品を届けています。

活動に賛同してくださる全国の寺院は1,252寺院、ご協力いただいている支援団体は448団体、おやつを受け取った子どもたちの数も、月間のべ約10,000人にまで増えました(2019年7月現在)。
(お菓子や果物、食品や日用品などを箱に詰めて、手書きのメッセージを添えて発送します。)

お寺から支援団体、支援団体からお母さんと子どもたちへと巡っていく「おそなえもの」は、お寺にお参りする人たちの慈悲そのもの。NPO法人おてらおやつクラブは、こうした慈悲の実践を支えることによって貧困問題の解決を目指す団体です。

いま、日本の子どもの相対的貧困率は7人に1人(13.9%)にも上り、約280万人もの子どもたちが貧しさに苦しんでいます。また、ひとり親世帯の相対的貧困率は50.8%。ひとり親世帯の約半数が経済的困難に直面していることになります。
※ 平成28年 国民生活基礎調査(厚生労働省)

しかし、子どもの貧困問題についてはまだまだ認知すら行き届いていない状態。解決に向かうにはいくつもの課題があることを感じています。

そこで、今回新たに正職員として一般事務及び企画進行管理業務を担ってくださる事務局スタッフを募集します。まだまだ成長途中にある組織だからこそ、いろんな仕事にチャレンジしていただけると思います。

現在、想定されている仕事内容についてご説明しましょう。

●外部と連携して子どもの貧困問題を啓発する企画をつくる

ひとつめは、企業や団体からご提案いただく企画を具体化する仕事。

私たちが感じる課題のひとつは「子どもの貧困問題の見えにくさ」。このため、啓発活動に力を入れており、昨年は公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「グッドデザイン賞」にエントリーし、2018年度グッドデザイン大賞を受賞いたしました。
(4,789件もの応募から選ばれての大賞受賞は、各界でも大きな話題になりました。)

審査員の方は「従来、寺院が地域社会で行ってきた営みを現代的な仕組みとしてデザインし直し、寺院の『ある』と社会の『ない』を無理なくつなげる優れた取り組み」とコメント。「活動の意義とともに、既存の組織・人・もの・習慣をつなぎ直すだけで機能する仕組みの美しさ」を評価してくださいました。

松島:グッドデザイン賞の審査員の方たちが僕たちの活動の価値を言語化してくださったことによって、企業や団体の方達が私たちの活動に関心を寄せてくださるようになり、企画やコラボレーションのお誘いが増えました。

2019年4月には、公益財団法人日本デザイン振興会と共同主催にて「おてらおやつクラブ丸の内別院」を開催しました。この企画には、代表の松島靖朗や事務局の福井良應なども関わり、「おそなえ、おさがり、おすそわけ」を実際に体験できる空間づくりを行いました。

松島:「丸の内別院」の開催時には、全国の事務局メンバーも東京に出張し、お参りの方々をお迎えしました。事務局スタッフは事務仕事がメインとはいえ、いろんな地域に出張する機会もあります。また、名古屋にも事務所がありますので、メンバー・ミーティングは隔月で場所を変えて行っています。


(約3000人が「おそなえ、おさがり、おすそわけ」を体験。丸の内別院からの発送作業も行いました。)

また、株式会社フェリシモが運営するお寺文化コミュニティ『フェリシモおてらぶ™』との共同企画「らほつニットキャップおはぎ」もそのひとつ。株式会社フェリシモの「ともにしあわせになるしあわせ」という活動理念のもと、おてらおやつクラブの活動に共感してくださったことから共同企画が実現しました。
(「らほつニットキャップおはぎ」は、2016年に発売された人気商品の特別版。『フェリシモおてらぶ™』として初めての基金付き商品でもありました。)

他にも、企業や団体から「おてらおやつクラブと一緒にやりたい」というお申し出をいただいています。これらの企画の具体化に知恵を絞り、体を動かしてくれるような人が来てくださったら!と思っています。

●経済的な困難を抱えるご家庭を必要な支援につなげる

もうひとつの仕事は、行政や支援団体との連携を増やしていくことです。

おてらおやつクラブの活動の基本は「活動の趣旨に賛同する全国のお寺と支援団体をつなげて、食品や日用品を届ける」こと。お母さんたちから事務局にお問い合わせいただくと、まずは地域の支援団体におつなぎするようにしています。
ところが、近隣におつなぎできる支援団体がない場合は、暫定的に「直接支援」を行っています。現在は、全国187世帯(2019年5月現在)のお母さんたちに「おすそわけ」を直接お届けしています。

私たちは、直接支援を行っているお母さんたちに対して、根本的な課題解決のために必要な支援を探っていく必要があると考えています。

松島:おてらおやつクラブに直接ご連絡くださるお母さんたちに「おすそわけ」をお届けするだけでは、根本的な問題解決にはなりません。それぞれに抱えている問題に寄り添い、必要な支援につなげるには僕たちはもっともっと行政や支援団体と連携しなければいけません。

そこで、お母さんたちの事情にしっかり寄り添いながら問題解決の方法を探っていく、ソーシャルワーカー的な役割をしてくれる人を事務局にお迎えしたいと考えています。

●思い切り”やりたいこと”に挑戦できる環境があります

NPO法人おてらおやつクラブは、まだ小さなNPO法人です。しかし、「やりたいことに挑戦できる環境」としては、非常に大きなポテンシャルがあると自信を持って言うことができます。具体的に、職場の環境についてご紹介いたしましょう。

・一緒に働く仲間は「ほとんどお坊さん」

NPO法人おてらおやつクラブの事務局は、奈良・安養寺にあります(最寄駅は近鉄「田原本」駅)。事務局には、安養寺住職でありおてらおやつクラブ代表・松島靖朗と、常駐スタッフの坂下佳織が勤務しています(松島はお参り等で不在のことも多いです)。

坂下は主にNPO法人の経理や労務、理事会の議事録作成など、法人を支える役割を担っています。他のスタッフは全員お坊さん。ふだんは全国各地の寺院でお勤めしているため、基本はリモートワークです。

坂下:おてらおやつクラブのお坊さんたちは、熱いハートを持っている人が多いです。代表の松島さんは新しいモノ好き。どんどんアイデアが出て来る人なので、そばにいるといろんな刺激を受けられます(笑)。それぞれに知識や経験が豊富で、ミーティングではいつも熱い議論が交わされています。

(「寺務所」と呼ばれる一室がオフィススペースです。左が坂下、右が松島住職。)

おてらおやつクラブの事務局には、IT企業や広告代理店でバリバリ働いた経験のあるお坊さんたちもいれば、真摯にグリーフケアに取り組むお坊さんたちもいます。「このメンバーと一緒に仕事をするのはかなり刺激的なはず」と坂下は言います。

坂下:自分がやりたいことがあれば「失敗してもいいからやってごらん」と背中を押してもらえるし、困ったときにはアドバイスをもらえる。いろんな企画が持ち上がるたびに「どう進める?」と熱い議論がはじまります。そんなときに、怯まず自分の意見を出せる人に来てほしいですね。

・お寺という職場環境

勤務先の安養寺は、お寺だけにとても静かな環境。落ち着いて仕事に取り組めること請け合いです。あなたさえよければ「毎朝、ご本尊に手を合わせてから仕事を始める」……なんてこともできます。

主な仕事場は寺務所と呼ばれるオフィススペース。坂下と向かい合う机でお仕事をしていただくことになります。
(毎朝の出勤風景はこんな感じ。ほっと深呼吸したくなりそうです。)

(お寺の廊下は休憩場所。ここで好きな本や漫画を読んで過ごすのは至福の時間…。)

ふたりの子どもを育てるお母さんでもある坂下にとっては、フレキシブルな勤務形態が許されることも働きやすさにつながっています。

坂下:子どもが病気のときや学校の行事があるときは、勤務時間を調整して行かせてもらえますし、とても働きやすいですよ。創立記念日や運動会の代休、夏休みなどの長期休暇は、子ども同伴で出勤。私は仕事、子どもたちは夏休みの宿題を一緒にしています。習字の宿題のお手本は、松島さんに書いてもらいました!

キャリアや経験があるにもかかわらず、子育てや介護のために働くことを諦めているお母さんにも、ぜひご応募いただきたいと思います。

・NPOで働くことについて

昔に比べると、NPO法人で働くという選択肢は一般的になりましたが、それでもまだ「民間企業よりも不安定なのでは?」と心配される方もいるかもしれません。

たしかに、おてらおやつクラブの法人形態は「非営利活動法人(NPO)ですが、雇用に関しては民間企業と変わりはありません。

松島:おてらおやつクラブは、2020年度には認定非営利活動法人化を目指しています。認定非営利活動法人とは、運営組織と事業活動の適正さにおいて一定の基準を満たしていると認められた法人のこと。社会的な信頼を得られると同時に、寄付してくださった方が寄附金控除を受けられるなどの税制優遇も受けられます。

おてらおやつクラブは、活動実績とともに、NPO法人としての信頼も積み重ねていきたいと考えています。「おてらおやつクラブで働きたいけれど、NPO法人ってどうなのかな?」と思われるようでしたら、遠慮なくお尋ねいただければと思います。

・おてらおやつクラブのネットワーク

おてらおやつクラブの活動が認知されるにつれて、企業や団体、行政とネットワークも広がっています。今年は、中国のIT企業「Alibaba」に招かれて「UCAN大会」にて松島が講演を行うなど、海外からも注目されるようになりました。こうした私たちのネットワークも、おてらおやつクラブで働く面白さのひとつになると思います。

坂下:おてらおやつクラブには、ふつうの会社にいたら出会うことができない、いろんな業界の人たちが集まってきます。持ち込まれてくる企画について、「どうしたら実現できるか?」を一緒に議論できる仲間たちもいます。怯まずに自分の意見を出して進めていけるような人が来てくれたらいいのかなと思います。

松島:昨年は、中国・杭州で開かれた「UCAN2019」に招聘を受けて、Alibaba社の若いスタッフ4000人の前で講演を行いました。職場は奈良のお寺ですが、僕たちは世界を見据えて仕事をしていますし、世界もまたこの活動に注目しています。きっと、ここで働くことを通していろんな出会いがあると思います。

最後に、松島から「どんな人にきてほしいか」を話してもらいました。

松島:おてらおやつクラブの活動に共感して、外に向かって広げることに関心を持ってくれる人でしょうか。たとえば、子どもに関わるNPOで働いていた経験がある人、福祉の仕事をしていた人、あるいは企画の経験がある人……。大学を卒業してから自坊に戻るまでの間、いろんな経験をしてみたいと思っている若いお坊さんも良いかもしれませんね。

いかがでしょう?「もしかして、自分のことかも?」と思った方は、ぜひ応募をご検討ください。そして、私たちの活動に共感すると同時に、おてらおやつクラブの次のステップをつくるお仕事にチャレンジしてみたいと思ってくださるなら、ぜひお気軽にお問い合わせください。たくさんの方からのご連絡をお待ちしています!