インターン生の受け入れが始まりました

認定NPO法人 おてらおやつクラブでは2021年2月から、インターン生の受け入れを始めています。現在インターン生として活動してくれている片山慎太郎(かたやま・しんたろう)さんが、インターンの動機や学びについて記事を書いてくれました。

ぜひご一読ください。

—▼以下、片山さんから皆さまへ—
皆さま、はじめまして。2021年2月から2カ月間、認定NPO法人おてらおやつクラブのインターン生として活動しております、片山慎太郎と申します。現在同志社大学の2回生で、政策学部政策学科に所属しています。この記事では、

・インターンに参加しようと思ったきっかけ
・おてらおやつクラブで学んだこと
・これからの抱負

などをお伝えしようと思いますので、最後までおつきあいいただければ幸いです。

インターン参加のきっかけとなった出来事は二つあります。
一つ目は、大学で「NPO・NGO論」という授業を受講したことです。この講義は、NPO・NGOで働く方々をお招きし「なぜその活動を始めたのか?」「今どんな気持ちで活動されておられるのか」などといった声を聞くことができる授業です。実際のNPO・NGOの仕組みや社会に益をもたらす具体的な方法なども学ぶことができ、「また受講したい」と思うほど刺激的な講義でした。僕はこの授業で初めて、NPOで働く人々について詳しく知りました。そこでお聞きしたNPOのあり方、働く方々の生き方に感銘を受けました。そこでお話をしてくださった方々は皆、自分の利益よりもむしろ「他者や社会のためになること」を追求されておられたからです。

それまで僕は「大多数の人は、自分自身や自分の家族・友人など直接的に関わりのある人のことだけを思って生きているのだ」と思い込んでいました。通学する際の電車では、毎日のように我先に座席を取りあう人々の姿を目の当たりにし、その様子に「自分さえよければいいと思っている人がなんと多いことだろう…」と幻滅していました。けれど、「大多数の人」の中には自分も入っていて、僕自身も他者や社会のためになることを追求する生き方など考えたこともありませんでした。

そのため「NPO・NGO論」で学んだ人々の生き方は僕にとって、とても衝撃的なものだったのです。このような生き方を知ってから僕は、この生き方しておられる方を「かっこいい」と尊敬するようになりました。そして、僕自身も他人や社会のためを思って生きていく人間になりたい、と思うようになりました。

二つ目のきっかけは、大学のゼミで子どもの貧困について研究する機会があったことです。ゼミで貧困問題に触れるまで、貧困は発展途上国にある問題で日本とは無縁のものだと思っていました。しかし、研究を進めていく内に、日本の子供の7人に1人が相対的貧困(=その国の文化水準、生活水準と比較して困窮した状態)であるという事実を知りました。今まで生活している中で、貧困だと感じる子どもに出会ったことがなかった僕は、この数字見て思わず目を疑いました。

さらに研究を進めていくと、相対的貧困は周りから気づかれにくい特徴があることを知りました。ここで初めて、僕は経済的に困難を抱える子どもに「出会ったことがなかった」のではなく、「気づかなかった」だけなのだということが分かりました。それと同時に、「僕の周りには自分が知らないだけで、困りごとを抱えた人々が多くいるのではないか」と社会を見る目が変わりました。それまでは漠然と、「何か社会や他人のためになることをしていきたい」と考えていたのですが、ゼミでの研究を通して特に「困りごとを抱えた人々を助けられる存在になりたい」と気持ちが固まっていったのです。

これら二つの出来事から、自分も困りごとを抱える人を助けられる人間になろうと決意したものの、具体的にどうすればいいのか分からず途方にくれていました。そんな時にふと、「NPOにインターンに行けば次のステップにつながる何かが見つかるのでは」と考えました。将来自分が従事したいと思っている「困りごとを抱えている人を助ける活動」を実際にしている人たちのもとに行けば、自分が持っていない知識を得たり、新たな経験ができるかもしれないと思い至ったのです。

そこで早速インターネットで検索してみたところ、NPOへインターン生を斡旋している「NPO法人 ドットジェイピー」という団体の情報に出会いました。この情報を見つけた僕はすぐに申し込み、貧困問題に対して取り組んでいるNPOを紹介してほしいとお願いしたところ、おてらおやつクラブを紹介していただき、面談を経て今に至ります。

おてらおやつクラブでの活動は学ぶことでいっぱいです。子どもの貧困のことに関しては、ゼミで研究していた時には知ることのできなかった家庭の生の声など、子どもの貧困問題の実態について深く理解することができました。その他に、社会に出て働く上で必要なことーーすぐに情報共有・相談することの大切さや、言われたことをただこなすだけでなく、自分なりの考察も加えることの大事さなどーーも教えていただいています。おてらおやつクラブの皆さんは、僕が何をするにもフィードバックを下さり、いつも自分が見えていなかった視点からの指摘をいただけるので、毎日新たな気づきを得ることができています。

そして僕がインターン生としてやってみたいことを提案すると、可能な限り要望に応えていただけます。自分がやってみたいことに挑戦する機会を提供してくださるおてらおやつクラブの皆様には、本当に感謝しております。

僕がおてらおやつクラブに来て約1か月経ちますが、実際に活動に携わり気づいたことがあります。それは、「仕組み」だけでは良い支援にはならないということです。インターンに行くまでは、困りごとを解決したり社会を良くするために必要なことは「より良い仕組み」だと思っていました。(ここでの「仕組み」とは、おてらおやつクラブがお寺の【ある】と社会の【ない】を繋げたようなことを指します)

しかしインターンの活動を通じて、「仕組み」一辺倒では良い支援はできないと感じています。「仕組み」だけで解決しようとすると支援に「温かさ」が伴わないからです。おてらおやつクラブの皆さんは「このおすそわけを送ると、受け取った方々はどう思うか」「このメッセージは相手にどのように伝わるか」というように、常に相手へのおもいやりの心をもって活動されています。おすそわけを送る際には、一つひとつの箱の中に手書きのメッセージを入れるという温かい気遣いもされていて、実際にそれが受けとるご家庭の孤立感の解消につながっています。

「仕組み」に加え、「支援を受ける方々が、どうすれば今の状況を改善することにつながるか?」ということを真摯に考え続けることが必要なのだと思いました。他者へのおもいやりの心をもって考え続けることで、自ずと支援に「温かさ」が伴ってくるのではないかと感じています。

インターン生として活動できる期間が残り約1か月間となりました。残りの1か月間では、貧困問題はどのようにすれば解決できるのか、また、より良い支援とはどんな支援なのか、といったこれから自分が向き合っていくであろう課題に焦点を当てて活動していこうと思います。このおてらおやつクラブで活動できる機会を生かし、気になること、分からないことはどんどん質問し、これからの自分に生かすことができる時間にしたいと思っています。そして将来、ここでの学びを社会に還元できるよう日々精進していこうと思っております。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。