おてらおやつクラブを通じて深まる地域と寺院のご縁

「おすそわけがまだまだ足りません」

そんな支援団体さまの切実な声にどうすれば答えられるだろうか?全国のお寺さまの力を借りればなんとかなるかもしれない。「おてらおやつクラブ」の活動が始まったきっかけはそんな思いつきでした。

「おてらおやつクラブ」は、全国のお寺にお供えされる果物や菓子などの「おそなえ」を、仏さまからの「おさがり」として頂戴し、子どもをサポートする地域の支援団体の協力の下、さまざまな事情で困りごとを抱えるひとり親家庭へ「おすそわけ」する活動です。

活動趣旨に賛同する全国のお寺と、子どもやひとり親家庭などを支援する各地域の団体をつなげ、お菓子や果物、食品や日用品をお届けしています。
活動が広がっていく一方で、参加するお寺さまに無理なお願いをしていないだろうか。見えにくい貧困問題を理解してもらえるだろうか。活動を続けていく中で、いろいろな葛藤や不安がありました。そこで実施したのが参加寺院さま向け調査(2020年10月)です。


Q.おてらおやつクラブがご紹介した地域の団体(おすそわけ先)との関係はどうですか?

【調査結果】
7割強のお寺さまが「おすそわけ」先である地域の団体さまとの関係が良好に続いているという結果でした。


Q.おてらおやつクラブに参加して、社会課題となっている「子どもの貧困問題」に目が向くようになりましたか?

【調査結果】
子どもの貧困問題に目が向くようになったお寺さまが8割弱、さらには地域を見守る目として役割を果たしていきたいとお応えくださったお寺さまも同様に8割にのぼり、大変頼もしい結果となっています。


Q.おてらおやつクラブへの参加を、知り合いのお寺さまにも勧めたいと思いますか?

【調査結果】
自分のお寺だけでなく、知り合いのお寺へ参加を勧めたいとお答えいただいたお寺さまが8割にのぼる結果となりました。


「おすそわけ」だけでなく、自ら積極的に地域の声に耳を傾け、自分たちにできることを広げようとしてくださっていることにこちらが励まされています。
ご参加くださったお寺さまが、地域の支援団体とつながり、そして「おすそわけ」を通じて交流することで、より地域の社会課題に関心を持ってくださり、様々な形で地域の課題と向き合ってゆかれていることがとてもうれしい調査結果となりました。

全国に活動が広がっていますが、まだまだ「おすそわけ」を十分にお届けすることができていないのが私たちの活動の現状です。


本調査結果を受けて、相愛大学学長の釈徹宗さんはこのようなコメントを寄せてくださいました。

おてらおやつクラブの取り組みは、“施し“のパス回しですよね。他者からのパスをキャッ
チして、次の他者へと心のこもったパスを出していく営みです。
他者からパスされた恵みのことを、インドの仏教用語でクリタと言います。クリタは「恩」と訳されています。パスが自分のところへやってきた喜びは、人間の生きる力と直結して
いると思います。また、そのパスをきちんとキャッチすることを「知恩」(クリタジュニャ)と言うんです。日本仏教に「知恩報徳」という用語がありますよね。報徳とは、パスを周囲へと回していく意です。喜びの順送りですね。
ところで、私の知り合いに、“苦労している人“を”ケアする人“を”ケアする集い“を運営して
いる人がいます。こちらの方は、いわば苦労のパス回しですね。そんなふうに、喜びも苦労も順送りして、みんなでグルグル回す社会が望ましいと思うのです。
おてらおやつクラブは、そんなあり方のモデルです。日本のお寺文化を基盤として、とて
も豊かなつながりを提示してくれています。


さて、現在おてらおやつクラブでは、給食のない夏休みに2,000世帯へおすそわけを届ける企画として、「夏のおすそわけ2023」にご協力いただけるお寺さまを募集しています

おてらおやつクラブから「おすそわけ」を受けとるひとり親家庭は、コロナ禍直前の2020年3月は351世帯でしたが、2023年5月現在、8776世帯となっており、その数は約25倍にふくらみました。特に夏休みなどの長期休暇は給食がなく食費や光熱水費もかさむため、「たすけて」の声も多くなります。

すでに2,000世帯からの「おすそわけ」のご希望と、「おすそわけ」お届けにかかる送料に充当するためのご寄付をお預かりしております。送料のご負担なくお寺さまにお力添えいただける企画です。今回、2,000世帯へのおすそわけを達成するには、より多くのお寺さまの協力が必要です。おすそわけ発送は1箱からでも構いません

「おすそわけ」を受け取ったことで、たくさんの笑顔と「たよってうれしい」の想いが生まれますように。ぜひ皆さまのお力をお貸しください。
以下の「夏のおすそわけ2023」協力寺院募集ページよりご参加ください。