「どこかで誰かが助けてくれる」匿名配送のほどよい距離感と安心感

2020年3月、全国の学校一斉休校からはじまったコロナ禍。どこにもたよるところがないひとり親家庭からの「助けて」のお声が増え始めました。

地域のお寺と地域の相談窓口や地域住民の関心をつなげていくのが「おてらおやつクラブ」の活動です。その前提は今でも変わっていませんが、コロナ禍、様々な活動がいわゆる三密回避などの感染症拡大を避けるため継続が難しい状況にあり、身近にたよる先がない状況で勇気を出して届けてくださった「たすけて」のお声に対して、何もしないわけにはいきません。

SDGsといわれなくとも、わたしたちの活動は「だれひとりとりのこさない」活動なんだ、と事務局一同で目線を合わせ、即日連日、全国のご家庭へ直接「おすそわけ」する直接支援活動を開始しました。自助・公助・共助が間に合っていない現実、最後の砦になる覚悟をもって。

2023年6月末。直接支援活動を通じて「おすそわけ」をお届けした世帯は9,000世帯。新しく開発した配送システムにより、全国1,800の参加寺院から、お寺の最寄りにお住まいのご家庭へと匿名で「おすそわけ」を届けることが可能となりました。

「たすけて」といえば、どこかのお寺から「おすそわけ」が届く。個人情報に配慮した匿名でのお届けですが、お寺のおそなえですから、地域の人々の想いが届きます。

「おすそわけ」を受け取った家庭のお声には、「孤立感が和らいだ」など心理的な改善や、「助けてと言える場所があると分かって安心した」という希望が聞こえてきます。

共に助け合い、支える社会。地域で、顔が見える関係で助け合えることがひとつの理想ですが、一足飛びにそのような状況をつくることはできません。

まずは匿名でつながり、いつの日か、ご縁がととのい、顔が見える日がやってくる。たとえ、顔が見えなくとも、どこかでだれかが助けてくれる、どこかのだれかを助けられる。匿名での支え合いが当たり前になればよいのかもしれません

「おすそわけ」を受け取ったご家庭からこんな声が届きました。

近くのお寺の前を通ったら、おやつクラブの「のぼり」がありました。もしかしたらこのお寺から「おすそわけ」が届いたのかも、と思うと身近な地域に見守られている安心感があります。

たよってうれしい、たよられてうれしい。たくさんのうれしいが生まれる社会になりますように。


現在おてらおやつクラブでは、給食のない夏休みに2,000世帯へおすそわけを届ける企画として、「夏のおすそわけ2023」にご協力いただけるお寺さまを募集しています。こちらの企画も、匿名配送システムを利用し、ご参加いただくお寺さまには地域のご家庭へご負担なく「おすそわけ」いただくことが可能です。

おてらおやつクラブから「おすそわけ」を受けとるひとり親家庭は、コロナ禍直前の2020年3月は351世帯でしたが、2023年6月末の時点で、約9,000世帯となっており、その数は25倍以上にふくらみました。特に夏休みなどの長期休暇は給食がなく食費や光熱水費もかさむため、「たすけて」の声も多くなります。

すでに2,000世帯からの「おすそわけ」のご希望と、「おすそわけ」お届けにかかる送料に充当するためのご寄付をお預かりしております。送料のご負担なくお寺さまにお力添えいただける企画です。今回、2,000世帯へのおすそわけを達成するには、より多くのお寺さまの協力が必要です。おすそわけ発送は1箱からでも構いません

「おすそわけ」を受け取ったことで、たくさんの笑顔と「たよってうれしい」の想いが生まれますよう、ぜひ皆さまのお力をお貸しください。

以下の「夏のおすそわけ2023」協力寺院募集ページよりご参加ください。